e数字が語る景気回復

  • 2013.07.16
  • 情勢/経済
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公明新聞:2013年7月16日(火)付



日銀の景気判断に「回復」との表現が2年半ぶりに復活するなど、自公連立政権の政策効果で、日本経済に明るい兆しが見えている。最近の主な経済指標などから改善の兆候を確認してみた。

企業活動

大企業の景況感 大幅改善
倒産、22年ぶりの低い件数に

 

自公政権発足後の大胆な金融緩和で、株高や円高是正が進み、企業の業績が好転し始めている。

日銀が今月発表した短観では、大企業の製造業・非製造業の景気判断が大幅に改善された。特に製造業の業況判断指数(DI)は、一昨年9月以来のプラスを記録した。これは、景気が「良い」とする企業の割合から「悪い」とする企業の割合を引いた値で、好景気で経営が好転した企業が多ければプラスとなる。

投資拡大の機運も出ている。民間設備投資の先行指標となる機械受注統計の民需(船舶・電力を除く)が5月分は前月比10.5%も増えた。この結果、減少傾向が続いていた設備投資は「7~9月期に底入れする公算が出てきた」(7月12日付 日経)。

企業の業績回復につれて倒産件数が減少している。東京商工リサーチの調査では、今年上半期の倒産件数が22年ぶりの低水準となった【グラフ参照】。

賃金・雇用

夏の賞与 6万4千円増
求人、「リーマン」以前の水準


企業の業績回復を背景に賃金・雇用にも明るさが出ている。5月の勤労統計によれば、現金給与総額は一般労働者が前年同月比0.2%増え、パートタイム労働者も同0.6%増加した。

求人情報大手のリクルートジョブズの調査では、5月の飲食系のアルバイト・パートの平均時給(三大都市圏)は920円となり、3年7カ月ぶりの高水準に達した。

賞与も上昇している。夏のボーナスの平均支給額は55万9000円となり、昨夏に比べ6.4万円増加した(日本生命保険の調査)。支給額が「増えた」と答えた人の割合も39.6%に上る。

雇用環境も悪化に歯止めがかかり、5月の有効求人倍率は0.90倍とリーマン・ショック以前の水準に戻った。

消費

住宅着工 9カ月連続増(前年同月比)
夏の旅行は過去最高人数か

 

消費者心理も上向き、個人消費が伸びている。

日本百貨店協会が発表した5月の全国百貨店売上高は、前年同月比2.6%増と2カ月ぶりに前年実績を上回った。特に美術・宝飾・貴金属は同23.3%増を記録した。これは統計上の比較が可能な2007年1月以降、最大の伸び率だ。

スーパーやコンビニエンスストアなどの主要小売り企業でも、3~5月期としては過去最高の営業利益、経常利益を出す企業が相次いでいる。消費回復の裾野は着実に広がっている。

また、景況感の改善が追い風になっているのか、5月の新設住宅着工戸数は前年同月比14.5%増となり、9カ月連続で前年実績を上回った【グラフ参照】。

経済波及効果の大きい観光も好調さを増している。旅行大手のJTBによれば、今年の夏休みは総旅行人数(7884万人)と総旅行消費額(3兆3016億円)が、ともに過去最高になると推計されている。

課題は中小企業、地方

現場知る公明の役割が重要

経済指標などが改善し始めたといっても、中小企業や地方、家計が実感できるまでには至っていない。中小企業や地方の声をしっかり吸い上げ、政策に具体化しなければならない。

公明党には全国約3000人の地方議員と国会議員のネットワークの力がある。これまでも地域活性化の政策課題や中小企業の実態などを調べて改善に取り組んできた。今後も、この持ち味を最大限に発揮して、経済成長の果実を中小企業、地方経済に行き渡らせる役割が極めて重要になる。

景気回復が幅広い分野に浸透するためには、賃金アップが欠かせない。

公明党は、デフレ経済下の10年間で減少した民間の平均給与10%程度を取り戻した上で、さらに世帯収入の増加をめざしている。そこで政府、企業、労働者の3者による協議の場を設け、賃金について話し合う必要性を提案している。

 

 

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