e景気回復の動き多方面へ

  • 2013.07.06
  • 情勢/経済

公明新聞:2013年7月6日(土)付

生活レベルで徐々に明るいデータ

金融緩和3カ月

 



大胆な金融緩和策が打ち出されてから3カ月。景気回復の広がりを多くの分野で確認できるところまで実体経済が好転しつつある。

身近なところでは、夏休み期間に1泊以上の旅行に出掛ける人が、2000年以降の最高を2年連続で更新する見通しだ(JTB調べ)。

日本百貨店協会が公表した全国百貨店における5月の売上高概況(既存店ベース)によると、札幌から福岡まで主要10都市での売上前年比は4.3%増で、5カ月連続のプラスになった。円高是正の効果で、外国人観光客による商品購入も活発化。景気低迷の影響が特に色濃かった百貨店業界は、少しずつ笑顔を取り戻すムードになってきた。

景気回復によって国内企業の経営改善も加速しており、本格的な賃上げや雇用増加は、時間の問題になってきた。

厚生労働省の5月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上対象)を見ると、タクシーやトラック運転手を含む運輸関連業界の従業員に支払う給与総額に明るい動きが出ている。パート労働者の所定内給与(基本給)も、景気回復に伴う人手不足から伸びつつあり、生活現場へと徐々に広がっていると見るのが妥当だ。

日本経済を支える中小企業関係者の間でも「出張経費や交際費の縛りが緩んだ」と業績上向きにまつわる話題が増えてきた。帝国データバンクによると、自公連立政権による経済再生策で国内景気が押し上げられていると「感じている」企業を規模別に聞いたところ、中小企業は40.7%に上り、大企業(47.6%)と大差ない。

中小企業の前向きな経営姿勢は、雰囲気だけでなく、実際の設備投資計画にも現れている。中小企業の13年度の計画は、製造業に限れば前年度比10.4%増。大企業の製造業(6.7%)を大きく上回る数字だ(6月の日銀短観調べ)。

企業の業績が改善し、法人税収が見通しを大きく上回りそうなことも嬉しい話題だ。12年度の国の税収は、43兆9314億円で1月の補正予算時点の見積もりを1兆3244億円上回った。リーマン・ショックの影響で落ち込んだ09年度以降で最大だ。

残る課題は、過度な円高是正による輸入品などの価格上昇を防ぎながら、持続可能な足腰の強い経済へと転換できるかどうかだ。その鍵は与党が参院選で勝利して国会の"ねじれ状態"を解消し、成長戦略を確実に実行する以外にない。

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