eコラム「北斗七星」

  • 2018.08.31
  • 情勢/社会
2018年8月31日


77人の犠牲者を出した2014年8月の「広島土砂災害」で被災された、広島市安佐南区梅林学区の自治会長から話を聞く機会があった◆「落ち込んでいる暇はなかったね」。半年以上に及んだ避難生活を終え自宅に戻った自治会長は、いち早く住民の避難訓練に取り組む。自主防災会連合会が作製した防災マップは、危険箇所が色分けされ、避難経路には「街灯なし、狭い」「水路あり、段差あり」などの注意書きが細かく記されていた◆また、自治会長は、この3年間、地域の"つながり"にも心を砕いてきた。毎月1回、集会所で「サロン」を開催し、住民同士が交流する場を設けたのも、お互いを知り、万一の時は助け合える関係を築くためだ◆「あまりオープンにしない、家族の状況なども打ち解けて話し合えるようになったし、何もかも行政任せにしないで、地域で支え合っていこうといった意識が芽生えてきた」と自治会長。「避難行動の判断は難しい。いざという時、『一緒に逃げよう』と言ってくれる隣人がいるかどうかが大事だと思う」と語っていた◆「異常な雨の降り方」が指摘される近年、九州北部豪雨、西日本豪雨と、大規模災害が相次ぐ。あす1日は「防災の日」。いつ、どこでも起こりうる災害に備え、地域の「防災力」について考える日としたい。(中)

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