eコラム「北斗七星」

  • 2018.08.14
  • 情勢/社会
2018年8月14日


かつて「抜け始めて分かる。髪は長~い友達」という発毛促進剤のコマーシャルがあった。読者の中には「年を重ね、その友達も今では随分と少なくなった」とお嘆きの諸兄もいらっしゃることだろう。ひとごとではないだけに同情を禁じ得ない◆これが子どもの話となると深刻だ。抗がん剤治療や脱毛症などで髪を失った子どもは少なくない。そこで今、静かな広がりを見せているのが「ヘアドネーション」である。髪を寄付(ドネーション)する活動のことだ◆一定の長さに伸びた髪を活動に賛同する美容院でカットしてもらい、医療用ウイッグ(かつら)を作るために寄付する。完成したウイッグは希望する子どもに無償提供される。有名女優らが活動に参加したことで日本でも知られるようになった◆ただ、一つのウイッグを作るのに30人分の寄付が必要だという。このため希望者全員には行き渡らないのが現状だ。年齢や性別、髪質を問わず参加できるだけに、活動の広がりに期待したい◆がん患者の生存率が伸びるに従い、子どもに限らず医療用ウイッグを希望する人は多くなるであろう。だが、市販品は高いもので数十万円する。購入費の一部を補助する自治体が増えていることも踏まえ、国は医療保険や医療費控除の対象とすることを検討してはどうか。(幸)

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