eコラム「座標軸」

  • 2018.08.06
  • 情勢/社会
2018年8月5日


観測史上最も早い6月中の梅雨明け(関東甲信)で始まった今夏。甚大な被害が出た西日本豪雨、国内最高気温の更新、日本列島を東から西へ逆走した台風12号など異例ずくめの天候が続き「今年の熱波は未体験ゾーン。危機的状況」(日本救急医学会)となっている▼気象予報士の森朗氏は「今後、天気予報がいっそう難しい時代が来る。現象の予想はできても取るべき対応がわからない、という事態もあり得る」(「異常気象はなぜ増えたのか」祥伝社新書)と警告する。厳重な警戒が必要だ▼地球温暖化(気候変動)の影響はアジア各国の豪雨、乾燥による米欧の森林火災などさまざまな形で世界を襲っている。世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者で歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は「テロリズムよりも気候変動の方が、人類の繁栄や生き残りにとってはるかに大きな脅威」(「未来を読む」PHP新書)と指摘する▼先の通常国会では公明党も推進し気候変動適応法が成立した。「適応」とは新しい気候条件を逆に活用すること。高温耐性米の開発、水温上昇に対応できる水産物研究など先進例はある。世界に比べ日本が出遅れていた視点だが、国や自治体で官民の取り組みを後押しする。期待したい。

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