eコラム「北斗七星」

  • 2018.08.01
  • 情勢/社会
2018年8月1日


一昨年成立したIR(統合型リゾート)推進法を受け、審議してきた同整備法が先月20日成立。IRにはカジノが一部含まれる。ギャンブル依存症対策は、基本法(同月6日制定)に基づく強化が付帯決議に明記されたが、不安視する声も多い◆では、多くの同依存症者を支援している当事者は―。ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表理事は「『新しいギャンブルができる=ギャンブル依存症者が増える』と考えることは実に短絡的」(同会ブログ)とし、対策次第だと言う。国会でも参考人としてIRについて、既存のギャンブルも規制されれば、「総体的にギャンブル依存症を減らすことができると思う」(5月24日、衆院内閣委)と指摘◆シンガポールの例では、2005年にカジノの合法化を決めるとともに依存症対策を強化。依存症が疑われる人は、当時の4.1%から0.9%(17年)に減少している◆年間5000件ほど同依存症の相談を受けているNPO法人リカバリーサポート・ネットワークの西村直之代表理事は「IRを単なる迷惑施設にしてしまうのか。それとも依存症対策を施しながら、税収を増やして地域に還元するのか」(潮8月号)と論じる◆IR法への懸念を払拭できるかは、これからの運用次第だ。政府・与党は心して取り組んでほしい。(三)

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