eコラム「北斗七星」

  • 2018.07.30
  • 情勢/社会
2018年7月28日


今回の西日本豪雨では多くの高齢者が犠牲になった。広範囲が浸水した岡山県倉敷市真備町では、亡くなった51人の8割が70歳以上だった◆多くが1人暮らしのお年寄りや2人暮らしの高齢夫婦だと聞く。避難情報が伝わらなかったり、伝わったとしても足腰が弱かったりして、逃げ遅れたのではないかと思うとやり切れない◆2013年の災害対策基本法の改正で、高齢者や障がい者など自力での避難が難しい人の名簿の作成が市町村に義務付けられた。名簿を基に、この人は誰が支援して、どう避難するのかといった「個別計画」を策定することになっているが、なかなか進んでいないのが実情だ◆その中で、注目されているのが大阪府豊中市の取り組みだ。15年以上前から、市、社会福祉協議会、民生委員協議会が連携し、独自の災害時要援護者の支援体制を強化。繰り返し訓練を重ね、先の大阪府北部地震の際も要援護者の安否確認を迅速に行った◆コミュニティーソーシャルワーカーと呼ばれる専門職が、助けが要る人と支援ができる"隣近所の人"をつなげ、普段からカオの見える関係をつくっていった同市に学ぶことは多い。いざという時は「遠くの親戚より近くの他人」というが、災害時に配慮が必要な人を地域全体で見守る仕組みの再構築が、なんとしても急がれる。(中)

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