e相続法の改正 配偶者への手厚い保護が実現

  • 2018.07.17
  • 情勢/解説

2018年7月16日



超高齢社会の日本にとって相続の意味は変わりつつある。従来は相続人である子どもの自立を経済的側面から支える意味が強かったが、長寿社会では相続人も高齢で、老後の経済的支援としての意味も重視しなければならない。

7月に成立した相続法の改正はこの変化への対応を実現した。特に、残された配偶者の住居と生活を守るために配偶者居住権が創設されるなど新たな制度も数多く導入され、2020年7月までに順次施行される。政府は準備に万全を期してほしい。

配偶者居住権は今回の改正の目玉である。これにより、残された高齢の配偶者が住み慣れた家の所有権を相続できなくても、引き続き住み続けることができる。


例えば、被相続人の財産が評価額2000万円の自宅と3000万円の現金の合計5000万円で、相続人が配偶者と子ども一人だけの場合、遺言がなく相続法の規定による法定相続で遺産分割をすると、配偶者と子どもはそれぞれ2分の1ずつの2500万円を相続することになる。配偶者が自宅を相続すると現金の相続は500万円となり生活費としては不安が残る。

そこで、自宅の権利を所有権と配偶者居住権の二つに分ける。これで、子どもが所有権を相続しても配偶者は生涯または一定期間、住み続けることができる。仮に自宅の価値が所有権1000万円、配偶者居住権1000万円と評価された場合、配偶者が相続できる現金は1500万円となり法定相続より多くなる。

また、自筆証書遺言の改正も重要である。自筆証書遺言は遺言者が自分で書く遺言であり、全文を自筆し、日付けと氏名、押印があればいい。しかし、紛失したり内容が不明確で役に立たなかったりするリスクもある。

しかし、改正により全文自筆ではなく、相続財産目録のパソコンによる作成や銀行通帳のコピー添付も認められた。さらに、自筆証書遺言を住所地の法務局で保管する制度も創設された。法務局が署名や押印など最低限の書式の確認もしてくれるため、不備による遺言無効も防げる。

遺言は相続人への温かな配慮である。遺言作成への関心が高まることも期待したい。

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