e懸命に続く復旧・復興

  • 2018.07.04
  • 情勢/気象

2018年7月4日



九州北部豪雨から1年



九州北部豪雨から明日5日で1年を迎える。甚大な被害を受けた福岡県朝倉市や大分県日田市などでは、現在も復旧・復興に向けた懸命な取り組みが進む。生活再建の柱となる住まいの確保や、仕事の再開に苦悩する被災者の姿と、現場に寄り添う公明党の取り組みを紹介する。(九州支局)


恒久的な住まい確保へ 地域の再生、一歩ずつ 暮らし


「1年後の入居期限までには自宅に戻りたい」。こう語るのは、福岡県朝倉市頓田の仮設住宅で暮らす德永信敏さん(58)、町子さん(54)夫妻。同市佐田にある德永さんの自宅は、床上まで浸水し半壊に。今も週末を利用して、子どもと共に家屋の修理や、がれきの片付けを行っている。

「また大雨が降り、家が流されないか不安。それでも慣れ親しんだ場所がいい」と、複雑な胸の内を明かしていた。

一方、同市黒川で、大量の土砂により自宅が全壊した岩下留夫さん(64)は、昨年末、自宅近くにプレハブ住宅を建てた。「住み慣れた土地を離れたくない」と言う95歳の母親の思いに応えるためだった。だが、岩下さんのように住宅再建の条件が整い、地元に戻れるケースは少ない。

同市黒川と佐田がある高木地区は、昨年の豪雨で特に被害が大きかった地域。同地区コミュニティ協議会の鬼塚博志事務局長(68)は、「被災した住民はほとんど戻らず、地域行事もままならない」と心を痛める。それでも、「今年は、なんとか敬老会や文化祭を行おうと思っている」と、地域の再生へ前を向いていた。

豪雨災害から1年。福岡・大分両県では現在も、約1100人が仮設住宅や自治体が民間住宅を借り上げる、みなし仮設住宅などで暮らしている。

朝倉市では、恒久的な住まいの確保へ、災害公営住宅の整備計画も進んでいるが、新たな場所に移住するか、元の地域に戻るかを迷い、見通せない将来に不安を抱く被災者は多い。

生活再建と地域の再生へ、被災者に寄り添った一層の支援が必要とされている。


多くの事業所が再開 支援の手 届かぬ農家も 仕事


被災地の復興には、生活の基盤である、なりわいの再生が欠かせない。

大分県日田市大肥で清酒などを製造する株式会社井上酒造では、昨年の豪雨で資材倉庫などが浸水。同社の井上百合専務取締役は「誰に相談すればいいか、企業としてどう立ち直ればよいか分からなかった」と当時を振り返る。

幸い、工場には大きな被害がなく、長期休業は免れたが、被災から約1カ月間、従業員と倉庫の片付けなどに追われた。

豪雨から1年を経た今、井上専務は「絶対に負けないという思いでやってきた」と語る。経営状態は被災前に及ばないが、新たな販売戦略を打ち出すなど復興へ着実に歩みを始めている。

福岡県朝倉市でも、商工業の復興が進む。会員の約3割が被災した朝倉市商工会によると、ほとんどの会員が既に事業を再開しているという。

一方、農業分野の復興の足取りは鈍い。

「置き去りにされた気分だ」と話すのは、大分県日田市でビニールハウスを使ってチンゲンサイなどを栽培していた吉田博之さん。昨年の豪雨では、約25アールあった農地のほとんどが浸水。5アール程度を残して、営農できない状態になった。

事業再開へ、行政の支援に期待したが、住宅やインフラ、露地栽培の農地などが優先され、ビニールハウスを使う吉田さんの元には十分な支援が届いていないという。

吉田さんは「後継者の問題もある。支援を受けられなければ、廃業せざるを得ない人もいる」と切実な現状を訴えていた。

被災地にはこのほか、岩が流れ込んだまま手付かずの農地など、今も豪雨の爪痕が残る。いずれも、復旧へ迅速な支援が待たれている。


公明 中小河川対策など推進


公明党は九州北部豪雨の発生直後から、国会議員と地方議員が被災地を調査し、山口那津男代表や石井啓一国土交通相(公明党)も被災現場を視察。党として激甚災害への早期指定を訴えてきた。

また、豪雨による中小河川の氾濫、土砂崩れや大量の流木が被害を大きくしたことから、治水対策を行う都道府県への強力な支援を要請。その結果、2017年度補正予算や18年度予算に、中小河川対策が盛り込まれた。現在、簡易型水位計の設置、流木や土砂を食い止める砂防えん堤の整備、氾濫を防ぐための河道掘削と堤防整備が進んでいる。

一方、被災自治体の公明議員は被災者に寄り添い続け、一日も早い復旧・復興に全力を挙げてきた。福岡県朝倉市では村上百合子議員が、大分県日田市では松野勝美、坂本茂の両議員が、さまざまな課題を抱える被災者の声を受け止め、生活再建に向けたきめ細かな支援、防災・減災対策の強化などを議会で訴え続けている。

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