e戦争の歴史 忘れないで

  • 2018.07.02
  • エンターテイメント/告知

2018年7月2日



市民の証言や記録を基に 体験記を発刊
香川・観音寺市



悲惨な戦争の教訓や平和への思いを風化させず後世へと伝えていくために、香川県観音寺市でこのほど、戦争を体験した市民らの声などをまとめた戦争体験記「戦争の記憶―未来への伝言―」が1000部発刊された。ある市民の戦争体験を聞いて「体験記を後世へ残したい」と決意した党員の熱い思いを受け、公明市議が尽力し、実現する運びとなった。


党員、議員の奮闘で実現


戦時中、観音寺市には「観音寺飛行場」(通称「柞田飛行場」)という海軍航空隊の軍事用飛行場が存在した。飛行場の建設に伴い住民は立ち退きを強いられ、特攻訓練が終戦の日まで続けられた歴史がある。

今回発刊された体験記には、身近な友人や家族が戦死した悲しみの声や、終戦の日に出撃命令が下るも奇跡的に免れた元特攻隊員の話など、戦争体験者の生々しい証言や記録がつづられている。この体験記が発刊されるきっかけになったのは、市内在住の竹本英克さん(91)の戦争体験だった。

竹本さんは当時、海軍航空隊の事務所で連絡係として働いており、18歳で終戦を迎えた。生まれ育った観音寺を空襲から守るために軍の命令に背いた過去や、鹿児島県鹿屋基地からの転属部隊として柞田飛行場で訓練を受けていた青年との出会いと別れなどを経験していた。

竹本さんは自身の戦争体験を誰にも語ることなく、胸の中に秘めていたが、ある時、近所に住む党員の大森セツ子さんに語った。竹本さんの話を初めて聞いた大森さんは「貴重な体験談を風化させてはいけない」と強く決意。戦後70年の2015年には、竹本さんを含めた戦争体験者の声を集めた記念誌約100部の発行に協力したほか、地方テレビ局からの発信を呼び掛ける活動などを展開してきた。

また、「より多くの市民にも、こうした体験を知ってほしい」との大森さんの熱い思いを受けて、公明党の石山秀和市議が15年9月定例会で、貴重な戦争体験を風化させないために、戦争体験記の作成に対する市の積極的な支援を主張してきた。

この質問を受けて市は、制作実行委員会を発足。高齢化により戦争体験者が少なくなっていく現状を踏まえ、市内在住者など85人からの聴き取りや寄稿を基に、約2年かけて一冊の体験記がまとめられた。

発刊された体験記は、A5判370ページ。市文化振興課の窓口や、市大野原、豊浜の両中央公民館、市ホームページからの申し込みにより1冊2000円で購入できる。発刊されたうちの約400部は、市内の行政機関や各小・中学校や高校に寄贈し、平和の尊さを学ぶ教材としての活用が期待されている。

公明党の石山、白川雅仁の両市議はこのほど、市内で竹本さん、大森さんらと懇談し、念願だった体験記の発刊を喜び合った。竹本さんは「戦争はいけない。今の世代の人たちに、一生懸命に伝えていってもらいたい」と語っていた。

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