e運送業の働き方改革 待機時間の料金どう反映するか

  • 2018.06.25
  • 情勢/解説
2018年6月23日


会期が延長された国会では、最重要課題である「働き方改革関連法案」が審議中だ。
働き方改革の柱の一つは、言うまでもなく長時間労働の是正である。とりわけトラック運転手などの運送業は、全職業の平均より年間労働時間が1~2割長い。
法案には、これまで事実上の青天井だった時間外労働について上限規制を明記。運送業については、時間外労働が月100時間を超えるケースが少なくない現状を改め、年間960時間(月平均80時間)以内を上限としている。
深刻な人手不足の中、適正な賃金環境と業務の効率化を担保するにはどうすべきか。
まずは適正賃金が支払われるようにすることが重要だ。
昨年11月には、トラック事業者と荷主の契約内容を示す標準貨物自動車運送約款が改正され、トラック運転手の待機時間料金が新たに加えられた。赤羽一嘉衆院議員は国会質問でこの点を取り上げ、荷主への周知徹底を強調した。
今後、労使間でしっかり協議して解決してもらいたい。
業務の効率化へ「トラック予約システム」にも着目したい。これは、トラック運転手が物流拠点で積み降ろしをする時間帯をスマートフォンで予約するというもの。具体的には、物流拠点が提示した複数の時間枠から到着時刻を選択し、予約時間に合わせて積み降ろしをする。
今まで積み降ろしは先着順のため、早い時間帯にトラックが集中し、その結果、待機時間が長くなり、長時間労働を招く要因となっている。
予約システムを利用すれば、順番待ちの時間が短縮され、物流拠点もトラックの到着時間に合わせて作業計画を立てやすくなる。トラックから排出される二酸化炭素の削減にもつながる。
政府はこれまで、システム導入へ一定の要件を満たした物流拠点を新設した事業者に対し、法人税などを軽減する制度を実施してきたが、導入には多額な負担がかかることから、中小事業者ほど導入に二の足を踏んでいる。
このため政府は、物流事業者らに対し、既存の物流拠点も対象に加え、システム導入費の半額を補助する制度を今年度から開始した。普及に弾みがつくことを期待したい。

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