e児童虐待防止 関係機関の情報共有は万全か

  • 2018.06.21
  • 情勢/解説
2018年6月21日


子どもたちの「SOS」をどうすれば早く見つけられるか。
政府は、公明党の主張を受けて関係閣僚会議を開き、児童虐待防止対策の強化に取り組むことを決めた。具体的には、児童相談所(児相)の職員体制の強化、児相・自治体間の情報共有の徹底、児相・警察・学校・病院間の連携強化などを進める方針だ。
問題の一つは、自治体間における児童虐待に関する情報の共有だ。
児相では、虐待の疑いがあり、専門家による定期的な指導を受けている家庭が他の自治体に引っ越す際、児相間で情報を提供し合うことになっている。
ただ、児相が虐待を把握し、子どもの一時保護をした家庭でも、育児状況に改善が見られると、こうした措置は解除される場合もある。
児相から逃れるため、他地域に転居するケースも少なくない。子どもの安全確保のためにも、自治体間の適切な情報共有のあり方を考えたい。
一方、警察など関係機関との連携強化も再点検したい。児童福祉法の改正によって、全国ほとんどの地域に自治体、学校、児相、警察などで構成し、児童虐待の情報を共有、対応を検討する地域協議会が設けられている。
しかし、児童虐待が疑われるのに、児相の職員などが状況を明確に掌握しきれていないと、この地域協議会で議論されない場合もあるという。協議する対象の範囲を再度検討してみてはどうか。
虐待が疑われる家庭の保護者や子どもと直接会って対応する児相の職員体制も十分なのか気になる。
児相の職員が、保護者に相談しやすい良好な関係を築くためには時間が掛かる。その上で、保護者と引き離して一時保護すべきか。保護者に対し、子どもとの接し方や養育方法の指導を行い、改善を促すのか。この判断も難しい。
警察と連携することで、せっかく築いた保護者との良好な関係が損なわれることを懸念する声もあるという。
この点、公明党が推進してきた、心理面に配慮した専門的な知識や技術を備えた「児童福祉司」など専門職を増員し、的確で迅速な対応を進めてほしい。

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