e公文書の管理 情報公開の理念踏まえた改革を

  • 2018.06.18
  • 情勢/解説
2018年6月18日


国会は当然として、一人の国民であっても行政を厳しく監視することができる。さまざまな方法があるが、行政文書など公文書の分析、研究を通して問題点を白日の下にさらすことはとりわけ強力な手段である。
しかし、財務省の決裁文書の改ざんや、防衛省が国会でPKO日報に関して「廃棄した」と虚偽の答弁をしたことなどによって、省庁のずさんな公文書管理の実態が浮かび上がり、行政監視の基盤が実は危機に瀕していたことが明らかにされた。
政府は現在、原因究明と再発防止策の検討に取り組み、来月には取りまとめる予定だが、誰もが納得できる徹底した公文書チェック体制の構築ができない限り、行政に対する信頼は取り戻せない。
先週開催された内閣府の第三者機関である公文書管理委員会では、財務、防衛両省からヒアリングをした上で再発防止策が議論された。
その中で、公文書を不正に扱った公務員の懲戒処分のあり方について、委員から「免職になるくらいの厳しい処分基準がいるのではないか。それができないなら、刑事罰のようなものも考える余地がある」「前例主義で処分をするのではなく、民主主義の根幹を揺るがすような不正にふさわしい懲戒処分が必要だ」との厳しい意見も出された。
日常業務の中で公文書が適正に管理されているかどうかを外部からチェックすることはできない。政府職員の自覚にかかっている。その自覚は情報公開法の理念の深い理解なしには生まれない。
情報公開法は、公文書のうち政府職員が職務に関して作り組織的に用いる行政文書を開示することで政府の国民に対する説明責任を全うし、公正で民主的な行政の推進に役立てることを目的としている。まさに公文書は国民と行政をつなぐ接点だ。また、政府職員として政策実務の正確な経緯を公文書として残すことは歴史的使命でもある。
自公両党の「与党・公文書管理改革ワーキング・チーム」は、先にまとめた中間報告の中で、公文書管理の専門家を持つ内閣府、国立公文書館の体制整備を今後の検討課題にするよう政府に求めた。抜本改革の柱としてほしい。

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