eコラム「北斗七星」

  • 2018.06.08
  • 情勢/社会

2018年6月8日



常連国の姿を目にできないのは残念だ。ブラジルに次ぐ4回の優勝回数を誇るイタリアが、14日開幕のサッカー・ワールドカップのロシア大会に出場しない◆守備重視の伝統的な戦術で、数々の名勝負を大会史に残してきた。鍵をかけたような鉄壁の堅守は、カテナチオの異名を持つ。イタリア語で、門や戸をしっかり閉める木を指す◆そのサッカー大国で新政権が始動した。3月の総選挙で第1党に躍り出た左派色の濃い政党と、反移民を掲げる右派政党が構成する連立政権である。内閣はポピュリズム(大衆迎合)的と指摘されているが、新首相は議会の所信表明演説で、「その通りだ」と自認したという◆両党の政策には本来隔たりがある。しかし、国民受けのよいバラマキ政策や移民排斥にかける結束は強い。ただ、それは厳格な財政規律や難民らの人権保護をめざすEUの方針と衝突しないか。ユーロ圏3番目の経済大国であり、独仏両国と並んで、欧州統合を担う基軸国としての責任を果たせるのか◆新政権はきょう8日、カナダで開幕する主要7カ国首脳会議(G7サミット)で外交デビューする。イタリアは、多様性や自由貿易を重んじるG7の一員でもある。くれぐれも、国際社会やEUとの扉に鍵をかけて、「自国第一主義」に陥らないでほしい。(明)

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