e公明の認知症対策 国の責務で社会参加を促す

  • 2018.06.07
  • 情勢/解説

2018年6月7日



国や自治体をはじめ企業や地域が力を合わせ、認知症の人やその家族を支える社会をめざしたい。



公明党の認知症対策推進本部が「認知症施策推進基本法案」の骨子案をまとめた。今後、さらに党内議論を重ね、認知症の当事者や有識者らの意見も聴き、法案化作業を進める方針だ。

急速な高齢化に伴い、65歳以上の認知症患者は現在の約500万人から2025年には約700万人になると見込まれている。65歳未満の若年性認知症の問題もある。

医療や介護などの社会保障費が大きく膨らみ、支え手となる家族にも経済的、肉体的、精神的な負担が重くのしかかる。介護をする人も、される人も認知症を患っている「認認介護」も深刻だ。

認知症対策をどう強化していくかは喫緊の課題であり、国や自治体が施策を推進する上で根拠法となる基本法を制定する意義は大きい。

今回の骨子案では、認知症施策を「国の責務」と明記。医療や介護だけでなく、教育、雇用、まちづくりの分野も含めた総合的な対策を盛り込んだ「基本計画」の策定を国に義務付けている。加えて、施策の実施に必要な財政上の措置も国に求めている。

とりわけ注目すべきは、認知症の人は地域社会の一員であるとして、本人の意思を尊重した社会参加の促進を基本理念に掲げていることだ。

認知症は、ひとたび発症すると社会生活を送ることが難しいとの誤解が根強い。しかし、早期発見や新薬の開発により症状の進行を遅らせることが可能になったことで、発症後も社会で活躍する人が少なくない。社会参加が進めば、家族の負担軽減や医療・介護費の抑制につながろう。

英国では、認知症患者の社会参加に国を挙げて取り組み、産業界にも協力を呼び掛けている。例えば、大手銀行は、認知症への理解と支援を示す「憲章」を制定し、認知症の人も理解しやすい金融商品やサービスの提供を企業の責務としている。

日本には、1000万人を超える認知症サポーターがいる。こうした貴重な人材の活用を含め、認知症患者の社会参加を促進する態勢づくりを急ぐべきである。

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