eデジタル人材の不足 対策急がねば国際競争力が低下

  • 2018.05.31
  • 情勢/解説

2018年5月31日



日本経済のさらなる成長にとって、IT(情報技術)やAI(人工知能)を企業活動に積極的に導入することが欠かせない。しかし、これらを使いこなせるデジタルの技術を持った人材の不足が今、大きな課題となっている。

政府が29日に決定した「2018年度版ものづくり白書」によると、デジタル人材を「業務上必要」と考える企業は6割を超え、「質・量とも充足できていない」と答えた企業は8割近くに上った。

経済産業省の推計でも、IT市場が高成長した場合、20年に約37万人、30年には約79万人の人材不足に陥るとされている。深刻な事態である。

ただでさえ、AIやIoT(モノのインターネット)など第4次産業革命によるイノベーション(技術革新)をどう取り込むかで各国政府や企業がしのぎを削っている。対応の遅れは日本の国際競争力の低下を招きかねず、デジタル人材の確保を急ぐ必要がある。

このため公明党は28日、「骨太の方針」に対する提言を政府に提出し、AI時代の到来に備えて政府で議論が進められている「人工知能技術戦略実行計画」を早急に策定し、トップレベルから一般まで幅広くデジタル人材の育成を進める必要性を訴えている。

まずは、社会人が教育機関などで学び直すリカレント教育の後押しが重要だ。既に米国では、デジタル関連の実践的なプログラムを受講する人に奨学金を支給するといった対策に乗り出している。

日本にも、国の指定を受けた講座を受講する場合に限り受講費の一部を支給する「一般教育訓練給付金」制度がある。デジタル人材の育成に向けた講座の拡充は検討すべき課題の一つであろう。

国内企業の中には、独自の研修プログラムを組んで社員のスキル(技能)アップを進めているところもある。こうした取り組みが多くの企業に広がるよう講師の派遣や費用助成などの面で国が支援できることはないだろうか。

インターネットの活用にも目を向けたい。例えば、世界の有名大学の講座を無料で学べる「MOOC(ムーク)」をはじめとするネット講座がある。時間や場所を問わず利用できる点が最大の特徴だ。具体的な対策を進めたい。

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