eコラム「北斗七星」

  • 2018.05.17
  • 情勢/社会

2018年5月17日



瀬戸大橋開通30周年の特集報道で、同橋のたもとにある自治体の人口が増え続けていることを知った。日本一面積の小さい香川県の中で、最も面積が小さく、最も人口密度の高い宇多津町である◆30年前の瀬戸大橋開通時、同町では好立地を生かした再開発を進めたが、ブームは瞬く間に過ぎ去った。どうやって活気を取り戻すか。カギになったのは、コンパクトな町の特性を生かした子育て支援の町づくりだった◆乳幼児の親子をサポートする交流拠点を開設し、教育関連施設の大半も半径2キロ以内のエリアに集中。中学卒業までの医療費無料化に加え、小学生までのひとり親世帯なら親も無料に。2年間で最大54万円の新婚世帯向け家賃補助、妊婦へのタクシー券配布など独自施策を次々と展開した◆子育てしやすい町の評判が県内外に広がるにつれて、移り住んできた若い世代が子どもを産み、育て、継続的な人口増につながった。この30年間で税収も約2倍になり、自主財源比率は県内最高だという◆一方、4日付の読売新聞では"消滅可能性都市"とされる自治体の約8割で人口減少が加速するとの報道も。少子高齢化で活力が失われていく「静かなる有事」に特効薬はないかもしれない。だからこそ、国と地方が力を合わせて知恵を絞る粘り強い取り組みが必要だ。(祐)

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