eコラム「北斗七星」

  • 2018.04.27
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年4月27日(金)付



先日、取材で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に隣接する同市立普天間第二小学校を訪れた。新聞報道などで情報は知っていたが、実際にこの目で見て、言葉を失った◆「避難してください」。突如、校庭に響き渡る拡声器の声。同時に児童が一目散に建物の中に逃げ込む。時間にして数十秒。にぎやかだった校庭が静まり返った。これは訓練ではない。次の瞬間、米軍ヘリが上空に現れ、学校を避けるように急旋回して飛び去って行った◆同校では、昨年12月の米軍ヘリ窓落下事故を受け、校庭を使う苦肉の策として、こうした措置を講じている。同校によると、避難はほぼ毎日あり、多い日は十数回にも上るという。異常事態である。桃原修校長の「何度も避難する姿を見た時は涙が出た」との言葉に胸が痛んだ◆今月、同飛行場の全面返還を日米両政府が合意してから22年が経過した。だが名護市辺野古への移設をめぐって国と県が対立し、実現していない。この間も米軍関係の事件・事故は後を絶たず、危険と隣り合わせの生活が続いている◆あらためて「一日も早い危険性除去」という原点に立ち返ろう。不毛な対立ではなく、対話によって、普天間の危険性除去を確実に進める方策を模索すべきではないか。「移設が進まないから放置」では決して許されない。(治)

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