e空き地の活用 所有者と地域の思い どうつなぐ

  • 2018.04.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年4月21日(土)付



全国の市街地で増え続ける空き地を有効に活用し、地域再生につなげたい。

市町村が調整役となり、空き地の解消を進めるための改正都市再生特別措置法が18日、成立した。市街地に散在している空き地を集約し、商業施設や交流広場などを整備することにより、賑わいを取り戻すのが狙いだ。

空き地や空き家が増える要因の一つは、親元を離れて暮らす子ども世帯が、親から相続した家や土地を放置するケースが考えられる。活用しなくても子ども世帯の生活にほとんど影響がない場合だ。

団塊の世代からの相続が増えていけば、空き地はさらに広がっていく。治安や景観の悪化を防ぐ上でも、早急に歯止めをかけねばならない。

国土交通省のアンケートでは、まちづくりに活用するなら、空き地を売却・賃貸してもよいと答えた所有者が7割を超えている。一方、地域住民や事業者の中には、空き地活用のアイデアやニーズがある。双方をどうつなぐか。

今回の改正では、空き地や周辺の土地所有者と、空き地の利用希望者との調整を市町村が担う仕組みを設けた。複数の土地や建物の利用権を交換したりして、空き地を集約することが目的だ。まとまった土地が確保できれば、地域再生に活用しやすくなる。

この点、市町村には積極的に制度を利用する姿勢が求められよう。国は市町村が活用しやすいように、先行事例の共有や専門家の紹介など、きめ細かくサポートすべきだ。

また、地域住民らと空き地所有者とが協定を結び、空き地を活用した広場や施設を共同で整備・管理する制度も創設した。協定を認可する市町村が丁寧に相談に応じながら、住民参加のまちづくりを進めてほしい。

空き地の有効活用には、いかに低コストで地域の魅力を高めるかとの発想も重要だ。

佐賀市では商店街の空き地に芝生を張って"原っぱ"にし、そこに雑誌や絵本が自由に読める「図書館コンテナ」などを設置する取り組みで、活性化に成功している。

市町村の工夫次第で、空き地は"資産"に生まれ変わる。地域に密着した地方議員も知恵を絞り、取り組みを後押ししていきたい。

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