e訪問・調査が公明の原点(下)

  • 2018.04.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年4月13日(金)付



介護総点検


保険開始10年 課題探る 10万人の声集め 基盤整備など加速


2009年秋の公明新聞には、神奈川県に住む68歳男性のこんな投稿が寄せられていた。「肉親が肉親を介護するのは大変で、時には怒鳴ったり、たたいてしまう。冷静になった時には、陰で母に手を合わせ、涙を流すこともあります」

当時、介護保険制度が社会全体で介護を支える仕組みとして2000年にスタートしてから、10年がたとうとしていた。「老老介護」が増え、介護をする人もされる人も認知症を患っている「認認介護」も社会問題になりつつあった。

そこで公明党は09年11月、介護現場の課題を探るため、介護職員や介護家族、本人から話を聞く「介護総点検」を実施。全国3000人を超える議員が特別養護老人ホームなどに出向いたり、街頭アンケートに打って出た。「介護の不安を国会議員に話したのは初めて」といった声も寄せられた。

こうして10万人を超える"生の声"が集まった。

公明党は年明け1月に調査結果を発表。これによると、介護を受けたい場所は「施設」、「自宅」ともに4割を超える一方で、実際に介護を受けている場所は7割強が「自宅」だった。自宅での介護に疲れ、家族に負担が重くのしかかっている実態が浮き彫りとなった。

こうした調査結果に、識者からは「日本の将来設計に大事な資料」「公明ならではの多角的な調査」(10年1月9日付本紙)などの評価の声が寄せられた。

2月には、政策提言「新・介護公明ビジョン」をまとめ、介護施設、在宅支援体制、介護労働力の"三つの不足解消"を政府に訴えた。公明党は当時、野党だったが、的を射た提言を政府は素直に受け入れた。

その後、公明党が訴えた在宅支援の強化は、11年6月に改正された介護保険法に反映。住み慣れた場所で誰もが安心して医療、介護、生活支援を受けられる「地域包括ケアシステム」実現への取り組みが始まった。

12年末、公明党は政権に復帰。安心して老後を暮らせる介護基盤の整備へ全力を挙げている。


防災行政をチェック


女性の視点で改善促す 3.11が教訓 対策に意見盛り込む


2011年3月11日に起きた東日本大震災。被災者であふれる各地の避難所では、人目を気にして布団の中で服を着替えたり、目立たないよう壁に向かって授乳する女性の姿があった。

避難所運営の中心者は、ほとんど男性。「更衣室や授乳スペースを設けてほしい」。女性たちは声を上げにくく、男性たちもその視点が欠けていた。

こうした女性特有の悩みにいち早く反応したのが公明党だった。被災者支援を続ける一方で、大震災を教訓に、全国の防災行政の課題を女性の視点から洗い出し、改善を促すため、8月に「女性防災会議」を設置した。

10月から約1カ月かけて全国658自治体の防災担当部署から課題を聞き取る「防災行政総点検」を実施した。所属議員の3割を女性が占める「女性の党」の強みを生かした公明党ならではの取り組みだった。

調査結果から女性の視点が防災に生かされていない実態が明らかになった。例えば、地域防災計画に、女性の意見を反映させている自治体は269(40.9%)しかなかった。その計画策定に携わる地方防災会議の委員に女性が一人もいない自治体が291(44.2%)に上った。

11月には、調査結果を基に地方防災会議に女性を登用しやすくする「災害対策基本法」の改正などを政府に提言。さらに、国会質問や地方議会から多数の意見書が提出されたことも後押しとなり、翌12年6月に同法は改正された。

その後、各地の議会で公明議員が女性の登用を訴えた結果、13年4月には防災会議に女性委員がいない都道府県はゼロになった。今では多くの自治体の地域防災計画に、女性の意見が盛り込まれている。


公明議員の活躍大きい


危機管理アドバイザー 国崎信江さん


公明党は防災力の向上のために、国や地方で足りていない部分を、地域に根差した視点で提言されている。特に女性議員の活躍が大きい。これまで災害時は女性の声が反映されにくい状況にあったが、具体的な施策の実現や法改正につなげてくれている。女性が平時から防災への取り組みに参加できるよう、今後も力を注いでもらいたい。

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