e共同住宅の防火対策 緊急点検を踏まえ課題洗い出せ

  • 2018.03.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月28日(水)付



生活困窮者が悲惨な火災事故に遭わないよう対策の強化につなげたい。

厚生労働省と総務省消防庁、国土交通省は、生活保護受給者らが多く住む共同住宅について、防火対策に関する緊急点検を実施するよう各自治体に通知した。

これは今年1月、札幌市の共同住宅で火災が発生し、11人が死亡するという惨事を受けたものだ。悲劇を繰り返さぬよう、自治体は速やかに対応してほしい。

昨年も5月に北九州市で、8月に秋田県横手市で、いずれも木造アパートが全焼し死者が出た。札幌市の火災も含め、主な入居者が高齢者や障がい者で、生活保護を受けている人が多かった点が共通している。

このため今回の緊急点検は、生活困窮者の相談援助に携わるケースワーカーの協力を得て、共同住宅の実態を福祉部門が把握し、その情報を建設や消防の各部門で共有して必要な防火対策に生かすことが目的だ。共同住宅は木造の老朽建物が多いだけに、行政が住まいの安全確保に努めるのは当然といえよう。

ここで指摘しておきたいのは、防火対策の強化といっても決して容易ではないということだ。

例えば、一連の共同住宅火災で焦点が当たった、スプリンクラーの設置である。

厚労省によると、福祉施設としての法的な位置付けがなく、生活保護受給者が2人以上入居している施設は全国に1200カ所以上ある。こうした共同住宅は、一般の共同住宅と同様に11階以下の建物であればスプリンクラーの設置義務はない。

法的な位置付けが明確な有料老人ホームでは、自力避難が困難な入所者が一定割合いる場合、スプリンクラーの設置が義務付けられている。

生活困窮者が多く暮らす低家賃の共同住宅の場合、スプリンクラーを設置することは資金の面で難しかろう。資金を調達するために家賃を値上げすれば、結果的に生活困窮者が住めなくなってしまう恐れがある。

共同住宅の防火対策については、こうした点に難しさがあるが、今回の緊急点検で課題を洗い出し、実効性ある対策につなげたい。

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