e不妊治療  仕事との両立 どう支援するか

  • 2018.03.23
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月23日(金)付



働きながら不妊治療を受ける人へのサポートを拡充する契機としたい。

厚生労働省は、不妊治療と仕事の両立に関する初めての実態調査の結果を発表した。2060人の男女労働者と779の企業から回答を得たものだ。

不妊治療の経験者および治療中の人は全体の12%で、このうち53%が仕事と「両立している」と答えた。一方で「両立できず仕事を辞めた」「両立できず雇用形態を変えた」「両立できず治療をやめた」との回答が合わせて35%に上った。

また、「両立している」と答えた人であっても、その87%が「両立は難しい」と感じたことがあるという。働きながら不妊治療を続けることが決して容易ではないことが分かる。

結婚年齢の上昇に伴って不妊治療を受ける人は増加傾向にある。実際、公明党の推進により実現した、体外受精や顕微授精にかかる費用を補助する制度の利用件数は、制度がスタートした2004年度の1万7657件から、16年度には14万1890件に大きく伸びている。

それだけに、経済的な支援策にとどまらず、今回の調査からも分かるように、働く人が治療と仕事を両立できるようにするための手だても欠かせない。

具体的な声として、「不妊治療のための休暇制度」「有給休暇を時間単位で取れる制度」など"働き方"への希望が今回調査では多かった。しかし、不妊治療を受けている従業員を支援する制度を実施している企業の割合は、わずか9%にとどまっている。

ここで注目したいのは、まだ一部の企業とはいえ先駆的な取り組みが行われていることだ。例えば、失効した年次有給休暇を60日まで積み立て不妊治療に当てることができる制度や、治療のため最長1年間の休職を認める制度を導入している企業がある。国は、こうした事例を広く周知することに努めてはどうか。

今回の調査に回答した企業からは、育児介護休業のような休暇制度や、休職者の補充にかかる費用の助成制度など、行政に求めたい支援策についてさまざまな意見があった。検討すべき課題は多い。

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