e民泊スタートへ ルール、マナーの徹底が第一だ

  • 2018.03.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月20日(火)付



地域との共存をどう実現するかが肝心だ。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により、一般住宅に旅行者らを有料で泊める「民泊」が6月から全国で解禁されるのを前に、営業を希望する家主や仲介業者の事前受け付けがスタートした。

訪日外国人旅行者が急増する中、都市部を中心にホテルなどの客室不足が顕在化しつつあるだけに、国が掲げる2020年の訪日客4000万人達成へ、民泊への期待は大きい。経済効果は10兆円台との試算もあり、健全な市場に成長することを期待したい。

そのために不可欠なのは、民泊事業の適正な運営と住民の理解であろう。

これまで民泊については、旅館業法に基づく簡易宿所の許可を受けるなど手続きが煩雑だったため、違法な「ヤミ民泊」が横行してきた。「深夜まで大声で騒いでいる」「ごみ出しのルールが守られていない」など近隣トラブルも頻発している。

このため国民の間には、民泊に対する根強い不信感や不安がある。

事実、マンション管理業協会の調査では、トラブルなどへの懸念を背景に管理組合の8割が民泊を禁止し、容認は0.3%にとどまる。自治体が条例で営業地域や期間を制限する動きも広がっている。

こうした住民の懸念をどう払拭するか。この点に、民泊事業を成功させるカギがあると言えよう。

確認しておきたいのは、民泊新法が、家主や事業者に対し、宿泊者名簿の作成や本人確認を義務付けていることだ。さらに、民泊施設と分かる標識の掲示や利用者へのマナーの徹底、近隣からの苦情への対応も求めている。

国や自治体は緊密に連携し、家主や事業者にルールを遵守させるべきである。

日本人の日常生活に近い環境を提供する民泊に対しては、訪日客に日本の新たな魅力を発見してもらったり、地域住民が異文化への理解を深める役割も期待されている。

例えば鳥取県は、農山漁村での自然体験を通して訪日客らが住民と触れ合う「交流型民泊」の準備を進めている。

民泊を地域振興につなげる取り組みも、強力に後押しすべきである。

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