e春闘集中回答 生産性高める取り組みにも注目

  • 2018.03.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月17日(土)付



経済好循環の加速につながる、力強い賃上げになっているのではないか。

今年の春闘は14日に主要企業の集中回答日を迎え、自動車や電機など大手企業の多くが、基本給を底上げするベースアップ(ベア)について、前年を上回る水準で実施すると回答した。ベアの実施は今年で5年連続となり、賃上げの勢いは増している。

安倍首相が「3%」の数値目標を示してスタートした異例の春闘であるが、経営側も積極的に対応し、ボーナスなどの一時金を含めた年収ベースでは、3%を超える企業が相次いでいる。

定期昇給とベアだけで3%に達する企業は多くないかもしれないが、一定の効果を上げていると見るべきだろう。

今後の焦点は、夏場にかけて本格化する中小企業の回答がどうなるかだ。昨年は中小企業の賃上げ額が初めて大手を上回った。背景には、人手不足や人材流出に対する中小企業の強い危機感があることは言うまでもない。

ただ、業績が堅調な大手に比べ、中小企業が賃上げの財源を確保することは容易ではないだろう。賃上げに取り組む企業の法人税を減税する「所得拡大促進税制」などの支援策を活用し、賃上げに努めてほしい。

全雇用者の7割が働く中小企業での賃上げは、個人消費に勢いをつけ、デフレ脱却を後押しする点からも大きな意義がある。

今年の春闘では、生産性の向上をめざし、長時間労働の是正など、働き方改革が進んでいることにも注目したい。

終業から始業まで一定の休息時間を設ける勤務間インターバル制度を導入したり、労働時間の短縮や休日の増加で労使が合意した企業が目立つ。1時間単位の休暇取得を可能にするなど、子育てや介護との両立支援策を充実させる企業もある。

働きやすい職場環境の整備は、従業員のモチベーションを高めるし、しっかりと休むことで心身共にリフレッシュすれば、仕事の効率も上がるだろう。こうした取り組みをさらに広げていくべきだ。

最新技術などへの設備投資とともに、「人への投資」にも力を入れ、各企業の生産性を高めていきたい。

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