eコラム「北斗七星」

  • 2018.03.19
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年3月17日(土)付



再び勢いづくのか。欧州にはびこるポピュリズム(大衆迎合主義)である◆イタリアの新政権樹立に向けた各党の交渉は来週23日から始まるが、主導権を握るのは今月の総選挙で躍進した二つの新興政党。移民排斥や国家主義的な主張を掲げる両党の得票率を合計すると5割に達する。既に、欧州連合(EU)にはポピュリズム政党が政権に参加、あるいは閣外協力している加盟国が数カ国に上る。イタリアも仲間入りするのか◆EUによる欧州統合には、依然として批判や懐疑論が根強い。その代表が「民主主義の赤字」論である。各国の官僚や閣僚によって構成される欧州委員会や閣僚理事会が政策決定を主導するため、加盟国の国民の意思が直接、政策に反映されにくい◆自由で開かれた民主主義は、近代社会が生んだ人類の財産である。ただ、市場の競争などを通じて社会の不平等や権力の集中などの副作用がもたらされるため、自壊の危機が繰り返し顔を出す。欧州の実験もしかり。しかし、その都度、強靱な自己変革能力を発揮して平和や繁栄の歴史を刻んできた◆現在も、EUの苦しみをあざ笑うかのように、権威主義国や独裁政権が国際政治の舞台で影響力を増す。近代が逆走しているのか、とうろたえてしまうほどだ。民主主義のしぶとさに期待したい。(明)

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