e「TPP11」署名 自由貿易の前進に大きな意義

  • 2018.03.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月15日(木)付



日本やオーストラリア、カナダ、チリなど11カ国が環太平洋連携協定(TPP)に署名した。

米国の離脱によりTPPは頓挫する可能性もあったが、残る11カ国の合意形成に日本が主導的役割を果たし、署名にこぎ着けることができた。世界的に保護主義が台頭する動きがある中で、新たな自由貿易の枠組みが実現に向け前進したという意味で歓迎したい。

TPPは今後、加盟国の議会承認などの国内手続きを経て正式に発効する。各国の進捗状況を取りまとめる事務局機能は日本が担うことになっており、協定の早期発効へ重ねてのリーダーシップを発揮してほしい。

TPP11により、人口5億人に及ぶ一大貿易圏が誕生し、農産物や工業製品の関税の撤廃・引き下げや通関手続きの簡素化が実現する。域内でモノやサービスの往来が活発化し、日本の国内総生産(GDP)は実質で7兆8000億円(1.5%)押し上げられると試算される。

関税が撤廃される貿易品目は、全体の99%に達する。日本がこれまで経済連携協定を締結していなかったカナダ(域内の経済規模第2位)を例に挙げると、カナダが乗用車にかけている6.1%の関税が協定発効から5年目にゼロになる。

このようにTPPは、自動車のみならず、日本経済をけん引する輸出産業全体にとって大きな追い風となり、さらなる経済成長にもつながることが期待されよう。

消費者にとってメリット(利点)は大きい。関税の引き下げや輸入枠の拡大で、食料品や衣類などが安価で購入できるようになる。

もう一方で、輸入拡大による国内産業への影響にも目配りする必要がある。この点について政府は、畜産農家への支援や農産物のブランド保護などに関する法案を今国会に提出する予定だ。

TPP署名と前後して、米国は鉄鋼やアルミニウムの関税強化を打ち出し、保護主義的な傾向を強めている。日本政府は今後、TPP参加に意欲的な韓国や台湾を巻き込むなど、自由貿易の流れを加速させることに一層注力すべきである。

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