e米朝首脳会談へ 非核化に向け具体的な一歩を

  • 2018.03.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月12日(月)付



トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の要請を受け入れ、5月までに米朝首脳会談に応じる意向を示した。実現すると初の首脳会談となり、北朝鮮の核・ミサイル開発問題が新局面を迎える可能性が出て来た。

北朝鮮の核開発は東アジアの安全保障だけでなく、核拡散防止の実効性確保に関わる問題でもある。この会談が北朝鮮の核放棄につながる具体的な一歩になることを世界が期待している。

しかし、北朝鮮はこれまでも一方的に軍事的緊張を高めておいてから関係国と交渉に入り、その後、合意を破棄した経緯がある。結果的に核開発の時間稼ぎに利用された。

そのため、日米韓も国際社会も、今回の米朝首脳会談を巡る北朝鮮の対応を手放しで評価しているわけではない。

米国は制裁を継続する考えであり、9日の安倍晋三首相とトランプ大統領との電話協議でも「北朝鮮が具体的な行動を取るまで最大限の圧力をかけていく。この日米の確固たる立場は決して揺るがない」との考えで一致した。

金正恩氏はトランプ大統領への首脳会談要請に関し、「軍事的脅威の解消」と「体制の安全の保証」を条件に非核化に応じる意向を示した。

もっとも北朝鮮は、2016年の「政府報道官声明」でも非核化の意思を示したことがある。その条件として、在韓米軍の撤収宣言を挙げるなど、とても米国が受け入れられない内容だった。

一方、今回の非核化の条件は、脅威の解消や安全の保証といった抽象的な内容だ。何が脅威で何が安全かは、安全保障の分野では客観的な判断が難しい事項とされている。後でいかようにも解釈されて破棄されることのないよう、非核化への手順など時間をかけても具体的な合意にする必要がある。

今回の米朝首脳会談は、公式の実務者レベルの会談を積み上げてから最終的に首脳会談を開く通常の外交とは大きく異なる。そのため一気に局面が動く可能性もある。

日本はどのようにも対応できる準備を整え、日本の安全と拉致問題が置き去りにされないよう努力すべきだ。来月開催の日米首脳会談でしっかり議論を深めてほしい。

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