eコラム「北斗七星」

  • 2018.03.09
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年3月9日(金)付



「鬼面、人を威す」。見せかけの威勢で人を脅かす輩が、近ごろ連載小説『隠居すごろく』に登場している。賂欲しさで千代太らの子供芝居に難癖をつけ、狂言作者の宍戸銀麓をお縄にしてしまった土倉某という寺社役人だ◆それにしても阿漕な端役を入れて物語を盛り立てるのが作者・西條奈加さんの上手さだが、一方で登場人物の面構えをアップに描き、読者を小説の世界へグッと近づけてくれるのが安里英晴さんの挿絵である。土倉の妖相など、千代太や瓢吉らと同年代の孫を持つ読者からすれば「絶対に許せない!」となるのは必定◆さっそく埼玉県の読者から投稿が来た。「土倉の描写はさもありなんとの思い」で、「作者はどうやって土倉を"処置"するのだろう」と"やっつけたい"感情が●(む)き出しだ◆そこで安里さんに顔の描き方を聞いてみた。役者のように登場人物その人を演じながら、怒った顔・いやらしい顔・幸せな顔を身にまとわせて描いているそうだ◆北斗子の顔はどうだろう。家族からは年を取るにつれ、「縦じわになり怖い顔をしている」と、たびたび注意される。そこで考えたのが男性の美顔術。小紙で連載中の『生き生きメークアップ術』で勉強し、内緒で自らの顔にファンデーションとともに一手間入れようかと思案中だ。(流)

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