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  • 2018.03.06
  • 情勢/解説
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公明新聞:2018年3月6日(火)付



健康増進法改正案
受動喫煙防止対策が前進
党厚生労働部会長 桝屋敬悟 衆院議員



問い たばこの受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が、近く閣議決定されると聞きました。この法案の意義や公明党の考えを教えてください。(福岡県 T・Y)

健康影響が懸念される受動喫煙の防止対策はこれまで、15年前に制定された健康増進法で努力義務となっていましたが、効果が十分とは言えませんでした。折しも、2020年東京五輪・パラリンピックの開催国として「たばこのない五輪」が求められてきました。

そうした中、今回の法改正案には、学校や病院、行政機関などを「敷地内禁煙」、その他の多くの人が利用する施設を「原則屋内禁煙」とする罰則付きの規制を設けるなど、望まない受動喫煙の防止対策を本格的に前進させる内容が盛り込まれており、党として了承しました。

法案が成立すれば、先行的に19年夏ごろから「敷地内禁煙」が一部施行され、20年4月1日からは全面的に施行されます。


多くの人が集まる施設 罰則付きで原則屋内禁煙


飲食店の例外 既存店のみ、新規は認めず


特に、多くの人が利用する施設を法律上「原則屋内禁煙」とする意義は大きい。喫煙専用室以外では、たばこを吸えないことが明確になります。

ただ、既存の小規模飲食店では、喫煙専用室をすぐに設置することが難しく、一律に厳しい規制を設けると実効性を確保できなかったり、営業継続が困難になる恐れもあることから、公明党も主張し、規制に一定の例外を設ける経過措置を規定。その期間は法律で別途定めます。

例外の適用要件は、先行して条例で規制を設けている神奈川県などの例を参考に、(1)既存店(2)個人または資本金5000万円以下の中小企業(3)客席面積100平方メートル以下――としています。その場合も、知らずに入店し、たばこの煙を吸うことがないよう、店頭などに喫煙できる場所である旨の標識を掲げることが必須となります。

対象は、全国の飲食店の55%程度と見込まれています。ただし、新規開設の場合は例外が認められないため、原則屋内禁煙が徹底された飲食店の数は年々増え、受動喫煙対策が段階的に、また着実に前進していくことになります。

飲食店で未成年の従業員などが、たばこの煙の中での業務を強いられることがないよう、喫煙できる場所に20歳未満を立ち入らせてはならないことも明記されました。実効性が確保されるよう、保健所が適切な指導などの役割を果たしていくことを期待しています。

最近、普及し始めた「加熱式たばこ」についても、「紙巻き」と同様、施設に応じて「敷地内禁煙」「原則屋内禁煙」の規制が行われます。ただ、どれほどの健康影響があるかが明確になっていないこともあり、原則屋内禁煙の施設においては、「喫煙室」内で飲食をしながら「加熱式」を吸うことが認められます。

公明党としては、政府に対し、早急に健康影響などの調査を行い、必要な措置を講じるよう求め、法案に「必要な調査研究を推進する」との国・自治体の責務が盛り込まれました。

今回の法改正は国としての最低限の規制のラインを示したものであり、それ以上の規制を各自治体で設けることが強く望まれます。実際、東京都などでは、公明党も推進し、検討が進んでいます。喫煙専用室設置などの対策への支援は自治体を通じて行われます。公明党は、自治体独自での規制強化に向けた条例制定や対策への支援充実を、地方議員と連携しながら推進していきます。

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