e温暖化への適応 気候変動を活用する視点も重要

  • 2018.03.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月3日(土)付



地球温暖化の影響が広がり始めている。対策を急がなければならない。

政府は「気候変動適応法案」を閣議決定した。災害や感染症の増加、農作物の不作といった温暖化による被害に備えるため、国や自治体、国民が果たすべき役割を規定したものだ。

温暖化対策は、「緩和」の面と、あまり知られていないが「適応」の両輪で進められている。

温室効果ガスの排出削減などにより影響を和らげようとするのが「緩和」であり、温暖化による被害に備えると同時に新しい気候条件を利用するのが「適応」である。新たな温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」も、この二つが柱となっている。

わが国では、温室効果ガスの抑制策についての法整備は進んでいるものの、適応策に関する法律はまだない。法制化が進む欧州各国や米国に比べ、後れを取っている。

温室効果ガスの発生を最大限に抑制しても、防ぎきれない温暖化の影響にどう対処していけばいいのか。被害の軽減策だけでなく、気候の変化を逆手に取って対策を講じていく「適応」の考え方もまた不可欠であろう。

既に先進的な事例が各地で見られ始めている。

例えば徳島県では、寒冷な海に多いカレイなどの漁獲量が減少した半面、温暖な南の海に多いハモなどの漁獲量が増加傾向にある。この点を生かし、ブランド化に乗り出したり、水温上昇に対応できるワカメの研究も進めている。滋賀県では、夏の暑さに強いコメの品種を開発し、作付面積を拡大させている。

温暖化の影響は地域によって異なるだけに、各地の実情に沿った対策が必要であり、地方自治体の役割は非常に重要になろう。

この点で、具体的な対策を進めるための根拠法が気候変動適応法案であり、公明党も法制化を強く訴えてきた。

法案では、国に対し、農業や防災など各分野の適応策を進める「気候変動適応計画」の策定を義務づけ、自治体にも同じ適応計画を策定するよう努力義務を課している。

ことは国民生活に直結し、対策が急がれる問題である。早期成立を期したい。

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