e被災地産品 WTO勧告は当然。禁輸解除を

  • 2018.02.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月27日(火)付



東京電力福島第1原発事故を受け、韓国が宮城、福島、岩手、青森など8県産の水産物の輸入を全面的に禁止している問題で、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会は、韓国に対し是正を勧告した。

これは、韓国の輸入規制が不当であるとする日本側の主張が認められたものであり、歓迎したい。

韓国側は今回の是正勧告を不服として、最終判断を下すWTOの上級委員会に上訴する方針を表明した。WTOの判断が覆らぬよう政府には引き続き日本の正当性を強く訴えていく努力が求められる。

2013年9月に始まった韓国の輸入規制は、原発事故を機に広がった各国の規制に比べて格段に厳しいものだ。日本政府は撤廃を求めてきたが解決せず、15年にWTOへ提訴した。

その結果、WTOの小委員会は、韓国の輸入規制を「恣意的、または不当な差別に当たる」と指摘し、是正するよう求めたわけで、中立な立場の国際機関による判断であり、その意義は大きい。

注目すべきは、原発事故の後に採用された輸入規制の是非について、WTOが初めて示した見解という点だ。規制を続ける国や地域に解除を促す好機とすべきである。

原発事故を理由に、最大で54カ国・地域が日本産食品の輸入を制限した。その後、日本の官民挙げた努力により減少したとはいえ、なお中国や香港、米国など27カ国・地域が、全部または一部品目の輸入を制限したり、検査証明書を要求したりしている。

こうした中で示されたWTOの是正勧告について、公明党の井上義久幹事長は「風評被害の解消に向けた大きな一歩」と評価し、規制撤廃の動きが各国に広がる弾みにしたいと強調している。

東日本大震災の被災地にとって水産業は基幹産業の一つにほかならない。復興が着実に進む中、風評に立ち向かいながら販路の開拓に苦闘する水産業関係者に、今回のWTOの判断は追い風となろう。

もとより日本の農水産物の安全基準は国際基準に比べ高く設定されている。それだけに、こうした点を粘り強く訴えながら、各国の規制解除につなげたい。

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