e望まれる動植物園の全面復旧

  • 2018.02.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月14日(水)付



熊本地震1年10カ月
"憩いの場" 業者不足で工事難航
熊本市



きょう14日で熊本地震から1年10カ月。被災地では今なお、心に傷を負った子どもたちへのきめ細やかな支援が欠かせない。とりわけ熊本市民の"憩いの場"として愛されてきた熊本市動植物園(岡﨑伸一園長)の一日も早い全面復旧が望まれている。公明党市議団(鈴木弘会長)は4日、同園の復旧状況を視察するとともに、関係者と意見を交わした。=熊本地震取材班

「ふわふわしてて気持ちいい!」――。陽光が降り注ぐ園内の「動物ふれあい広場」には、ヤギやモルモットと戯れる子どもたちの無邪気な声が響きわたっていた。

激震に伴う液状化被害によって、破損した園路や傾いた獣舎など、痛々しい爪痕が残った熊本市動植物園。復旧の目途が立たずにいた2016年5月、「子どもたちの傷ついた心を癒やせれば」と、小動物を連れて小学校などを訪れる「ふれあい移動動物園」を始めた。

約半年間で移動動物園は保育園など35カ所を訪問。担当獣医の松本充史さんは「子どもたちが喜ぶ姿を通して逆に動植物園の存在意義を再確認できた」と述懐する。

臨時休園中も従業員らは、休むことなく動植物の世話や復旧作業を継続していた。そうした取り組みもあって、同園は昨年2月、土日・祝日限定で部分開園にこぎ着けた。最初の2日間(累計)だけで約1万7000人が来園する盛況ぶりだった。昨年5月の来園者は5万人を超え、同6月に開園エリアを拡大。今年に入り、先月にはようやくホッキョクグマなどの人気動物を公開でき、多くの子ども連れでにぎわった。

同園は当初、今年4月の全面開園をめざしてきたが、業者不足のため、給水設備などの工事が難航している。岡﨑園長は「今後、平日開園も模索しながら、子どもたちが元気になる"憩いの場"を必ず完全復活させたい」と意気込みを見せる。


心のケア必要な子 再び増加


県と熊本市では震災後、時がたつにつれ、心のケアが必要な子どもの数が徐々に減少していた。ところが、発災1年が過ぎた昨年の6月と11月の調査結果では再び増加傾向に。

市は現在、スクールカウンセラーによる支援体制の強化や、保護者と教員を対象にした研修などを実施。市教育委員会の総合支援課・徳永光博課長は「子どもが発するサインを見逃さない支援が必要」と力を込める。

視察後、党市議団の鈴木会長は「目には見えない被災児童・生徒たちの心に寄り添う支援体制の構築に全力を挙げる」と語った。

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