e認知症 演劇で理解広げる

  • 2018.01.25
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2018年1月25日(木)付



発足から50公演超す
劇団「南座」公明党員ら活躍
千葉・佐倉市



千葉県佐倉市の公明党佐倉支部(久野妙子支部長=市議)の党員らが活動している認知症啓発劇団「南座(吉森文男座長)」は、2010年の発足から50公演以上、5000人を超える市民に認知症への正しい理解を訴え、好評を博している。昨年12月には市内で開かれた認知症サポーター養成講座で、演劇を披露。劇団員の一人である公明党の岡村芳樹市議がナレーターとして参加した。

「多くの人に認知症を正しく理解してもらうため、私たちは演劇の活動を続けています」。冒頭のあいさつで、吉森座長は劇団の目的を語った。

演目は、コーラスグループに所属する女性を主人公としたもの。認知症のため練習日を忘れた彼女に、認知症への理解がない仲間が怒りをぶつける。その後、仲間は、認知症サポーター養成講座を受講。主人公への接し方が変わるようになったという設定で、認知症の人に温かく接していくことの大切さを伝えた。


「とても分かりやすい」と好評


演劇終了後、受講者の一人は「演劇なので、とても分かりやすく勉強になった。友人にも教えてあげたい」と感想を語っていた。

南座の発足は、2009年12月に佐倉市志津南地区社会福祉協議会が開いた認知症に関する研修での一コマがきっかけだった。この地域は開発から50年余りが経過した団地を抱え、高齢化に伴って認知症の高齢者が商店街で迷子になることも。

「認知症の人への接し方が分からない」。こうした住民の声を受け、認知症への理解を地域に広げようと、同協議会の福祉委員が手掛けた認知症啓発劇が好評を博した。翌10年9月からは、市が主催する認知症サポーター養成講座への出演を開始。劇団名は地区名の一部を取って「南座」と名付けた。これが事実上の旗揚げとなり、この年から吉森さんも加わった。

現在のメンバーは12人。このうち岡村市議、17年から座長を務める吉森さんのほか、飯島揚子さんも党員だ。メンバーのほとんどが演劇の初心者だが、舞台を重ねるうちに、アドリブを入れるまで余裕のある演技ができるようになった。「迷子の高齢者を見かけたら」など10本のレパートリーを持ち、ボランティア団体の学習会や小中学校への公演依頼にも応じている。中学校での公演では、演劇部の生徒と一緒に演じることもある。

一方、佐倉市は認知症サポーターの養成に取り組むほか、講座を受けてサポーターになった人がいる市内の店に、認知症の人が安心して利用できる目印となる「認知症サポーターがいます」と書かれたステッカーを貼るなど「認知症にやさしい佐倉」をめざしている。今後の課題は団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」への対応。市は同年までに3万人のサポーター養成を目標としている。

岡村市議は「認知症になっても住み良い地域をつくるため、あらゆる機会を生かして、認知症サポーターを増やしていきたい」と話していた。

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