e対北朝鮮制裁  国連決議の実効性強化へ対策を

  • 2018.01.23
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年1月23日(火)付



北朝鮮に対して国際社会が圧力をかけ、核兵器とミサイル開発をやめさせる。そのためには、国連安全保障理事会(安保理)の制裁決議を完全に履行しなければならない。

しかし、実際には、制裁をないがしろにしかねない違反行為が横行している。

この現実を踏まえ、カナダ西海岸の都市バンクーバーで16日、米国とカナダが共催する外相会合が開かれた。1950年に朝鮮戦争が勃発した際、国連軍に参加した英国やフランスなど16カ国に、日本や韓国などを加えた計20カ国が参加した。

ここで問題視されたのは、北朝鮮が巧妙に行っている石油や石油精製品(灯油やガソリンなど)の密輸である。

安保理は昨年9月の決議で、北朝鮮の船に海上で積み荷を移すことを禁止。昨年12月の決議では、北朝鮮への石油精製品の輸出量の上限を年間50万バレルとし、2016年時の450万バレルと比べ、約9割減らすことも決めた。いずれも、核・ミサイル開発に使う燃料を、北朝鮮が入手しにくくするためである。

ところが、これらの決議が採択されて以降、ロシア船籍のタンカーや香港船籍の貨物船などから、石油や石油精製品の積み荷を、海上で北朝鮮の船舶に移していたことが分かった。米軍などの艦艇が、この現場を確認したことで明るみになった。

時には、アフリカ東方沖の島国であるコモロの船がこうした密輸を行うなど、海上で北朝鮮の船に積み荷を運ぶ船籍を定期的に変更し、発覚を防いでいたという。

どんなに厳しい制裁措置を盛り込んだ決議でも、これでは効果が薄れる。国際社会は決議の実効性を高める取り組みを強化すべきである。

カナダで行われた外相会合では、海上で制裁決議に違反する物資の輸送が疑われる船舶を発見した場合、検査を実施すると同時に、北朝鮮の船に海上で禁輸品を積み替える手口についての情報共有を進めることを決めた。

中国とロシアの協力も欠かせない。北朝鮮の核・ミサイル開発は国際社会の重大な脅威であるとの認識は、中ロ両国も一致している。日本からも、両国に粘り強く働き掛けるべきだ。

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