eコラム「北斗七星」

  • 2018.01.22
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年1月22日(月)付



明治維新から150年を迎えた今年、ゆかりの鹿児島、山口などでは、記念イベントが華々しく行われている。一方、新政府軍に最後まで抵抗した福島県会津では「戊辰戦争150年」と銘打ち、その歴史的意義を再認識しようという行事が盛んだ◆薩摩、長州と会津、宿敵のようにいわれるが、いずれの藩も子弟教育への熱意は共通していた。薩摩の「郷中」や会津の「什」では、子どもたちが地域ごとに集団となって自主的に教え、学び合った。長州は身分にかかわらず有為な人材の育成に力を注いだ◆新政府軍による会津討伐は苛烈を極めたが、白虎隊に属し、戊辰戦後は長州出身者の援助で学問を磨き、東京帝国大学の総長となった山川健次郎など、明治に活躍した会津出身者も少なくない。国家建設のために広く人材を求めた明治政府の思いも伝わってくる◆150年を経ても、教育の充実の重要性はいささかも変わらない。しかし今、家庭の経済状況で生じる教育の格差が日本の将来に影を落としている。最近、小学4年生で学力の差が開いてしまう「10歳の壁」が問題になっているが、その背景に家庭の所得格差があるとも指摘される◆まさに「教育は国家百年の計」。本格的な人口減少時代に向かう今こそ、一人を大切にする教育環境を確実に築き上げる時だ。(千)

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