eご存じですか? ZEH エネルギーを"消費しない"住宅

  • 2018.01.10
  • 情勢/テクノロジー
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公明新聞:2018年1月10日(水)付



省エネと発電で収支ゼロ
政府、20年までに新築の過半数めざす



地球温暖化対策で家庭から排出される二酸化炭素(CO2)の削減が求められる中、省エネ住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が注目を集めている。政府は、2020年までに新築戸建て住宅の半数以上をZEHにする方針。自治体やハウスメーカーも普及に向け、動き出している。


実際に宿泊を体験


そういえば、暖房をつけていない――。日本に寒気が流れ込んだ昨年末、宿泊体験に訪れた省エネ住宅・ZEHで朝起きると、寒さが気にならず暖房をつけるのをやめた。結局、滞在中はほとんど空調を使うことがなかった。

ZEHは、住宅の高断熱化と高効率設備で可能な限り省エネを進めつつ、太陽光発電などで電力を自給することで、年間に消費するエネルギー量の収支をおおむねゼロにする住宅。いわばエネルギーを"消費しない"住宅だ。


環境に優しく快適


天井や外壁、床などに高断熱材を使い、窓も高性能の複層ガラスにすることで夏は涼しく、冬は暖かくなり、エネルギーを極力必要としない。高性能の空調や照明、換気、給湯などの設備を導入してエネルギーを効率的に使い、同時に快適な室内環境を実現する。

また、太陽光発電を蓄電池システムと組み合わせて電力を安定供給したり、家電などの設備と接続してエネルギーの使用状況を一元管理するシステム「HEMS」を導入するケースも少なくない。

環境への負荷が少ない上に快適で、光熱費も低く抑えられるZEHだが、年間の新築住宅に占める割合は1割にも満たないと報じられている。課題は認知度の低さだ。

このため、環境省は昨年12月から今年2月まで、断熱性の良さなどを直接感じてもらおうと、ZEHや、それに近い水準の省エネ住宅に無料で宿泊できる体験事業を全国10施設で実施している。利用者からは「部屋の暖まり方が早い」「朝、子どもがすぐに布団から起きて来た」などの声が寄せられている。


普及へ費用を補助


建築費用もネック(障害)になっている。ZEHに求められる高い住宅性能を実現するには、一般住宅に比べて建築費用が200~300万円程度割高になるといわれている。経済産業省は建築主の費用負担を減らすため、12年度から断熱性基準などの要件を満たす住宅に対する補助事業を実施してきた。18年度からは環境省が引き継ぎ、ZEH普及を後押しする。

また、経産省はZEHの設計や施工の受け皿となる事業者を増やすため、20年度までに提供住宅の過半数をZEH化することを宣言した工務店などを「ZEHビルダー」として登録。16年度以降、登録ビルダーによって設計・建築されたZEHのみを補助事業の対象としている。

17年10月現在、6200社近くが登録されている。

公明党は、省エネ住宅の取得に対する住宅ローンの金利引き下げなど、一貫して住宅の省エネ対策を推進。ZEHの普及も力強く後押ししている。


モデルタウンを公開


全戸に太陽電池など設置 富山市


富山市は昨年10月、ハウスメーカーと連携し、住宅街区全体で年間の消費エネルギー「ゼロ」をめざすモデルタウンをオープンした。行政主導で質の高い省エネ住宅を整備し、普及を促す狙い。

敷地には 小学校の跡地を活用。21区画の戸建て住宅用地と、公民館や図書館などの公共施設を集約した建物を整備した。

住宅全戸に太陽電池(太陽光発電パネル)と、発電した電力をためるリチウムイオン蓄電池、ガスから電気と熱をつくる家庭用燃料電池が設置されることになっており、高い断熱性も含め、ZEHの実現に向けた性能が装備される。

一方、太陽電池は発電量の上限や季節変動があり、各家庭で消費電力量も異なることから、必ずしも全戸で消費エネルギーを賄えるとは限らない。このため市は、街区全体でつくり出す電力で消費電力の相殺を図るモデルタウンを企画した。

また、住民の意識もエネルギー消費に大きく影響することから、市は今後、モデルタウンの入居者に向けて省エネ意識を高める取り組みを行うほか、実際のエネルギー使用の変化などについて効果を検証していく方針。

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