eひとり親支援 婚姻歴による不公平の解消を

  • 2017.12.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月22日(金)付



ひとり親世帯、とりわけ母子世帯の困窮ぶりが改めて明らかになった。

厚生労働省が、おおむね5年ごとに実施している「全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯における母親の就労による年収は平均で200万円だった。同居親族の収入を含めると平均348万円になるが、それでも児童がいる世帯全体の平均所得の半分に満たない。支援の手を差し伸べる必要がある。

今回の調査結果で特に見逃せないのは、母子世帯のうち、寡婦控除の対象とならない未婚のシングルマザーの割合が、8.7%と過去最高になっていることだ。

寡婦控除とは、配偶者と死別や離婚した後に再婚していない人が所得控除を受けられる制度だが、未婚のひとり親は寡婦と見なされず控除を受けられない。このため所得税額はもとより、それに基づいて計算される公営住宅の家賃や保育料などで不利益を被っている。

似たような不公平は、遺産相続についても存在した。結婚していない男女の間に生まれた子どもの遺産相続分を、結婚している両親の子どもの半分とする規定が民法にあったのだ。

これについて最高裁判所は2013年9月に「違憲」との判断を示し、同年12月の民法改正で、この規定は削除された。「親が結婚していないという選択の余地がない理由で子に不利益を及ぼすことは許されない」と最高裁は指摘している。

寡婦控除の適用範囲についても、こうした考え方を反映すべきではないか。

この点、18年度与党税制改正大綱で、未婚のひとり親世帯への寡婦控除適用について「19年度税制改正で検討し結論を得る」と明記されたことに注目したい。

公明党は、国会質問などを通じて寡婦控除の適用拡大を粘り強く訴えてきた。各地の地方議会でも、寡婦と見なして保育料などを算定する「みなし適用」の実現に取り組んでいる。

今回の税制改正大綱での合意は、未婚のひとり親世帯に対する不公平解消への大きな一歩である。今後、与党内に設けられる検討組織での議論に期待したい。

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