eコラム「北斗七星」

  • 2017.12.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年12月18日(月)付



「いぬなら鳴かう。(中略)びよびよ」。室町時代の狂言『柿山伏』の一節だ。犬といえば、「わん」と鳴くものだが、山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)によれば、江戸時代以前は「びよ」と表現していたらしい◆そこまで、まねができるのだろう。ソニーの小型犬ロボット「aibo」が戻ってくる。発売は戌年の来年1月11日から。予約分は即刻完売。それもそのはず。進化が著しいのだ。体に人工知能(AI)やセンサー、画像処理装置などを埋め込み、鳴き方は育て方で変わる◆驚くのは家族を認識し、部屋の間取りを覚えること。自ら飼い主らに寄ってきて、かわいがる人にはよく懐き、かわいがらないと、すねる。肉球を押せば芸も学ぶ。あまりの技術革新に、追い付けないのではと思うのは北斗子だけだろうか◆例えば、農業分野。来年度、家電メーカーがトマトの収穫ロボットの試験販売に乗り出す。トマトの画像をAIで解析し自動収穫。夜間の作業も可能だ。医療分野では、AIが深層学習し動脈瘤を診断する技術の開発が進んでいる◆ちなみに、『今年の漢字』のトップ10には「新」や「変」もあった。「100年に1度の変革期」(日経)の今、重要なのは「軸を曲げない意志の強さと、総合知」(大野和基編『知の最先端』PHP新書)という。心して鍛えたい。(田)

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