e教員の働き方改革 地域の力さらに生かしたい

  • 2017.12.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年12月15日(金)付



過重労働が指摘される教員の働き方をどう改革するか。実効性ある対策を急ぎたい。

文部科学省の中央教育審議会(中教審)の特別部会が、教員の負担軽減策を示した中間報告をまとめた。

教員が担う業務と地域住民らが分担できる業務を整理し、教員の勤務時間に関して上限の目安となる指針を策定すべきとした点が特徴だ。

文科省の調査によると、時間外労働が「過労死ライン」の月80時間に達する教諭は小学校で約34%、中学校は約58%にも上る。危機的状況である。

実際、日々の授業に加え、土日も出ることがある部活動、不登校やいじめへの対応、煩雑な事務処理など、教員の負担は重い。

この点、中間報告で注目したいのは、部活動への関わり方について「必ずしも教員が担う必要はない」と明記したことだ。活動時間や休養日の基準を明確にする必要性にも言及している。

部活動の負担軽減は、公明党が今年3度にわたって政府に提言してきた教員の勤務環境改善策に盛り込まれていたものであり、中間報告の方向性を評価したい。

カギを握るのは、今年4月にスタートした、地域の人材を活用する「部活動指導員」制度であろう。

同制度は、地域の文化・スポーツ指導者らが「学校職員」として積極的に部活に関われるようにしたもの。実技指導だけでなく、顧問に就いたり、校外活動の引率を単独で行うこともできる。報酬も支払われる。

文科省は2018年度予算概算要求に、適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化を進める自治体を対象に、外部人材の配置費用を補助する事業を盛り込んだ。部活動指導員の一層の普及に役立てたい。

中間報告ではこのほか、学校や教員が担ってきた業務のうち、「放課後の見回り」や「給食費の徴収・管理」など4業務は、自治体や地域住民らが担うことが望ましいとした。

大切なことは、地域の理解と協力があってこそ教員の働き方改革は進められるという視点であろう。地域全体で子どもを育む機運を醸成していきたい。

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