e「3・11」知見と教訓 共有へ

  • 2017.11.27
  • 情勢/国際

公明新聞:2017年11月27日(月)付



世界防災フォーラム

復興、減災で議論40カ国の代表ら

市民参加のイベントも

仙台市



仙台市で開かれている「世界防災フォーラム」(実行委員会主催)では、オープニングセッションが26日に行われ、防災・減災や復興への課題を巡る活発な議論がスタートした。28日までの期間中、50の会議が予定され、40以上の国と地域から参加した900人超の産官学民の防災関係者が東日本大震災の知見と教訓を共有し、世界へ発信する。

オープニングセッションでは、世界防災フォーラム実行委員会会長の里見進・東北大学総長が主催者を代表してあいさつ。仙台市で2015年に開催された国連防災世界会議で採択された指針「仙台防災枠組」に触れ、「(同枠組は)世界がより災害に強くなるためのツールであり、エンジンだ。さまざまな知識を共有し、新たな結果を出すことを期待したい」と述べた。

次いで、「大規模災害に備える連携」をテーマに国内外の専門家がパネルディスカッションを行った。

国連事務総長特別代表(防災担当)のロバート・グラッサー氏は、気候変動に伴う自然災害の増加に触れ、「アジアのインフラ整備においては、災害の歴史を理解する一方、将来への変化も加味しながら進める必要がある」と指摘した。前OECD(経済協力開発機構)公共ガバナンス局長のロルフ・アルター氏は、「知識、経験、行動、記憶の四つの要素を重視しながら、リスクの文化を創生しなければならない」と強調した。

実行委員長の今村文彦・東北大学災害科学国際研究所長は、「広域で複合的な災害の発生が予想される中、政府、地方自治体、企業のそれぞれの対応には限界がある。互いに連携し、解決をめざす取り組みが不可欠だ」と締めくくった。

また、「命を守る"防災情報"」のセッションでは、南海トラフ巨大地震で最大34.4メートルの大津波が想定されている高知県黒潮町の大西勝也町長が「諦めない」「犠牲者ゼロ」を掲げ、防災まちづくりを進めている模様を報告。避難援助の必要性などを記した「戸別津波避難カルテ」を作成し、住民意識を"揺れたら逃げる"へと変革した取り組みを紹介した。

会場周辺では、関連行事として「防災推進国民大会2017」も催され、チラシを折ってのスプーン作りや、炊き出しなどの体験型イベント、展示に多くの市民が参加した。「世界防災フォーラム」は今後、スイスのダボスと隔年で2年に1度、仙台市で開催される。

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