e住宅火災 早期発見へ近隣連動の警報器も

  • 2017.11.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年11月23日(木)付



全国的に冷え込みが強まり、空気も乾燥している。火災が広がりやすい気象条件だ。火の元には十分注意したい。

昨年12月、新潟県糸魚川市の市街地で、住宅や店舗など147棟が延焼した大規模火災は記憶に新しい。

この大火を教訓に、総務省消防庁は今月から、火元だけでなく隣接する住宅などにも無線を通じて警報を鳴らし、火災を知らせることができる新たな火災警報器の実証実験を始めた。全国36カ所で来年3月末まで行われ、効果や課題について検証する。

糸魚川市の大火では、火元のラーメン店から出火した際、その場に店員がいなかったことが消防への通報の遅れにつながった。

火災による被害を少しでも抑えるには迅速な初期消火が欠かせない。この点、糸魚川市のケースを踏まえれば、火元に住民がいない場合でも、近隣が早期に異変を感知する手だてが必要だ。

このため今回の実証実験では、一般住宅に設置されている火災警報器に着目した。

一般住宅用の警報器には、一つの部屋で火災を感知すると同じ住宅内の他の部屋でも同時に警報を発する「連動型」がある。この仕組みを応用し、隣接する数軒の住宅の屋内や屋外などに連動型の警報器を設置する。

警報が誤報だった場合の対応や警報器の機能強化などの課題もあるが、実証実験を重ねて有効な仕組みを考案してほしい。

2006年施行の改正消防法により、一般住宅への警報器の設置が義務付けられた。しかし、今年6月時点での設置率は81.7%にとどまる。未設置の理由として、費用負担が重いと答える人が多い。国や自治体は、かつて実施した助成制度の再実施や、設置を促す広報活動の強化などを検討してはどうか。

また、電池切れや電子部品の劣化により火災を感知しなくなっている警報器もあろう。点検を怠らないようにしたい。

消防庁の調査では、警報器を設置することで、火災による死者が約4割減り、延焼面積や損害額は半減しているという。国や自治体には、警報器のメリットや点検の仕方など十分な周知を求めたい。

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