eコラム「北斗七星」

  • 2017.11.21
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年11月21日(火)付



たまに訪ねる店がある。先日寄ってみると、いつもと雰囲気が違って明るい。元気な従業員が、客にも目配りしながら切り盛りしている。同じメニューだが、つい追加注文したくなった◆チェーン展開していない小売業が生き残るのは至難な時代である。消費者は敏感。見た目は良くても何かウリがなければ、やがて淘汰される。先ほどの店は味良し、リーズナブル。だから、つい足が向く◆グローバル化の波にさらされ、長年、日本経済を支えてきた、ものづくり産業も苦難の時を迎えている。一方で、規模は小さくても特定の分野で圧倒的なシェアを持ち、世界を舞台に勝負している中小企業がある◆『地域の力を引き出す企業』(ちくま新書)の中で、筆者の細谷祐二氏はこうしたものづくり企業をグローバル・ニッチトップ企業(GNT企業)と呼ぶ。GNT企業は「日本全国に分布し」、自ら収益を上げるだけでなく、地域経済にも付加価値をもたらしているとか◆GNT企業の強さは、どこにあるのか。技術にたけているのは大前提だが、「市場ニーズの把握」が欠かせないという。今、何が求められているのかを把握せずに商売は成り立たない。当たり前といえばそれまでだが、絶えずそれをつかむ努力をしているから、相手も寄ってくる。示唆に富んだ話である。(広)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ