eコラム「北斗七星」

  • 2017.11.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年11月18日(土)付



国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所などが9~11月にかけて各地で開催した「第12回難民映画祭」は衝撃的だった◆苛烈な内戦の全貌を検証する『シリアからの叫び』、シリアの戦闘地域で人命救助を行う民間防衛隊「ホワイト・ヘルメット」の活動を追った『アレッポ 最後の男たち』は圧巻。中でも、戦禍を逃れ欧州に渡った難民の子どもたちの記録『シリアに生まれて』は秀逸で、難民の過酷な境遇に胸が塞がった◆最新作『希望のかなた』が上映されたフィンランドの映画監督、アキ・カウリスマキは問いかける。「難民は助けるべき存在だった。今では難民は敵だ。我々の人間性はどうなってしまったのか? 人間性がなければ、一体、我々は何者なんだろう」と。多くを考えさせられた映画祭だった◆今秋、シリア難民の若者を留学生として日本に招く支援事業が始まった。公明党難民政策プロジェクトチームが現地調査を経て政府に働きかけ、実現したものだ。5年間で大学院生150人を受け入れる◆初年度の留学生19人の日本語研修を取材したが、留学生は「日本で学んで国の再建に役立ちたい」と語っていた。皆、とても澄んだ目をしていた。未来を探し求める人の目だ。復興人材の育成へ教育機会を提供する難民支援。ぜひ発展させたい。(中)

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