e被災企業の二重債務 本格再建まできめ細かい支援を

  • 2017.11.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年11月16日(木)付



「本格的な事業再生がこれからの企業も多いので、今後も積極的な支援を展開してほしい」―。東日本大震災で被災した事業者の切実な声に応えたい。

震災前の債務と震災からの事業再建のための新たな債務。この二重債務問題を抱える企業に、「東日本大震災事業者再生支援機構」が、債権の買い取りや事業立て直しへの助言などを行っている。

だが、同機構が支援企業を決定する期間の終了が2018年2月22日に迫っている。支援決定期間は一度延長されているが、公明党は、これを再延長する法案(議員立法)の今国会成立をめざしている。このままでは、新たに事業再建をめざそうとする企業が支援を受けられなくなってしまうからだ。

震災から6年8カ月。いまだ道半ばの東北復興にとって、二重債務問題は見過ごすことのできない問題である。

被災企業には再延長への期待が大きい。その理由として▽仮設店舗から新店舗への移転・営業再開などがこれから本格化する▽風評被害で売り上げの回復が遅れている▽被災した中小企業の再建を支援する「グループ補助金」での自己負担分の借り入れの返済猶予期限が到来する―などが挙げられる。

実際、復興庁の推計調査によると、岩手、宮城、福島、茨城の4県の2602社が二重債務問題の相談を希望していることが分かった。支援決定期間を延長すべきであることは明らかだ。

さらに重要なのは、二重債務を解消した被災企業の経営が軌道に乗るまで、きめ細かく支援を続けていく取り組みである。

例えば、震災により販路を失った企業は少なくない。そこで、新規の販路開拓はもちろん、新商品の開発や営業戦略へのアドバイスなど企業を総合的に支えていくことが求められよう。

公明党の「災害時における二重債務問題フォローアップ・プロジェクトチーム」は、9月に被災企業などからの聞き取り調査を実施した。これにより、支援決定期間を再延長する必要性が再確認できたことは言うまでもない。法改正を今国会で実現させるべきである。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ