eコラム「北斗七星」

  • 2017.11.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年11月7日(火)付



博多駅前の道路陥没から、あすで1年。「流動化処理土」とやらで、瞬く間に穴が埋まり、海外から称賛された。通りは当時、ちょっとしたパワースポットになったものだ◆陥没は政界でも起きた。衆院選を前に野党第1党が"解党"を宣言。即席の立憲民主党が、共産党の手も借りながら、この穴を埋めた。右3割、真ん中5割、左2割とか。左2割の支持層が、収まるべきところに収まっただけの話ではある◆「自然は真空を嫌う」と言ったのは哲学者、アリストテレス。宮家邦彦氏は国際政治に当てはめ、「『力の空白・真空』が生じた時、それを埋めようとする諸勢力のパワーが動く」(「『力の大真空』が世界史を変える」PHP研究所)と説く。米軍のフィリピン撤退後の南太平洋がいい例だ◆北朝鮮情勢が緊迫し、中国の海洋進出も進む。内向きな米トランプ政権が気になっていたが、わが国周辺に穴が空くことはないと思わせる旅である。日米の結束を演出したのも、ボールをうまく運んで穴に沈めるゲームだった◆話を道路陥没に戻せば、最近、パワースポットの効力は失せ、写真を撮る観光客を見ない。穴埋めとともに役目を終えた、かの党とも重なる。バランスを欠いた旧民主党政権の首脳にハンドルを預けられるほど、日本の進む道は平たんではない。(也)

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