e中間貯蔵本格稼働  除染土問題解決へ大きく前進

  • 2017.10.30
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年10月30日(月)付



東京電力福島第1原発事故に伴う除染で生じた土壌などの廃棄物を保管する「中間貯蔵施設」(福島県大熊町、双葉町)で、本格的な貯蔵が始まった。

既に事故から6年7カ月余り、県と両町が同施設の建設受け入れを表明してからでも3年になる。「ようやくの稼働」との感は否めないが、原発廃炉とともに福島再生の鍵を握る除染土対策が「一歩」を踏み出した意義は大きい。

「安全第一」「絶対無事故」を肝に銘じて、国は万全の運用に努めてもらいたい。

福島県内では、今後の除染作業で出てくる分も含めて、廃棄物は最大2200万立方メートル(東京ドーム18杯分)になると推計されている。県内各地には、それらが袋詰めされたまま仮置きされており、住民の大きな負担となっている。

中間貯蔵施設は、この大量の廃棄物を最長で30年間保管するもの。第1原発が立つ両町の敷地1600ヘクタールに環境省が建設中で、分別後の除染土を放射性セシウムの濃度に応じて保管する「土壌貯蔵施設」がこのほど、大熊町側で完成したのを受けて運用開始となった。今後、1日約500立方メートルのペースで保管していく方針だ。

環境省によると、双葉町側の土壌貯蔵施設も今年度内に稼働できる見込み。草木などを焼却する「減容化施設」や、焼却灰を保管する「廃棄物貯蔵施設」などの早期建設もめざしている。

ただ、施設整備に必要な土地の取得は遅れており、これまでに契約を結べた地権者は1139人。全対象者約2360人の半分にとどまっており、面積にして4割程度(約624ヘクタール)でしかない。

事態を改善するのに"奇策"は無用だ。自らが原発事故の被害者である地権者が、先祖伝来の土地を手放すことの苦しみを十分に認識した上で、誠実かつ丁寧にお願いする以外にない。国はその覚悟を改めて固めてもらいたい。

もう一つ、地権者はじめ県民の間には「中間貯蔵の半永久化」を危惧する声がなお根強くあることも知るべきだ。

30年以内に福島県外に設けるとしている「最終処分場」はいつ、どこに建てるのか。政府挙げて検討を急ぐ必要がある。

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