eコラム「北斗七星」

  • 2017.10.30
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年10月28日(土)付



言語学、文化人類学の専門家で、小紙に何度も原稿を寄せていただいた西江雅之氏。先日、遺稿集『ことばだけでは伝わらない』を読んで、ソマリアでの砂漠体験に興味を引かれた◆痩せこけた羊の群れを追いながら生きる人々。その中にいた老人が「あんたの所に羊はいるか?」と西江氏に尋ねる。「日本にはほとんどいない」と答えると、その言葉が誤解を生んだ。羊がいないとは食料が尽きた地を意味した。西江氏は食料を求めて流れてきた男と受け止められたのだ。会話はイタリア語。そこに文化の違いが入れば、コミュニケーションを取るのも難しい◆希望の党、立憲民主党、無所属へと分かれた民進党の"分裂劇"は、国会という狭い場所で、しかも日本語で演じられた醜悪なドラマだった。言葉を間違えればコミュニケーションも取り合えなくなり、昨日の友も今日の敵と化す典型例を国民の前に示した◆11月1日に特別国会が召集される。そこで安倍晋三首相が首相指名選挙で選出された後、組閣が行われ第4次安倍内閣が発足する。第4次内閣の成立は、1952年の吉田茂内閣以来、65年ぶりという◆この数字を見ても、自公政権が安定し国民の信任を得てきた証しといえる。それだけ大衆の党・公明党の責任が、いや増して重くなるということだ。(流)

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