eO157 強い感染力。引き続き警戒を

  • 2017.10.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年10月5日(木)付



群馬県前橋市に住む40代男性が腸管出血性大腸菌O157に感染し、死亡していたことが分かった。

同県と埼玉県では、同じ系列の総菜店の利用客がO157による集団食中毒を発症し、炒め物などを食べた東京都の女児(3)が亡くなる事故が起きたばかりだ。いずれの事例も、日常生活に潜む感染症への警戒をあらためて意識させるものとなった。

大腸菌の一種であるO157は、もともとは牛などの家畜の腸内にいて、解体時に食肉の表面に付くことがある。これが人間の手を介して2次感染する恐れもある。

菌の毒性は非常に強い。感染後、重症化すると激しい下痢や腹痛、血便などを引き起こし、死に至る場合もある。1996年に堺市で起きた集団食中毒では、9000人以上が感染し、小学生3人が命を落とす事態となった。

今年の腸管出血性大腸菌全体の感染者数は先月24日までに3000人を超えた。食中毒は一般に、高い気温で菌が増殖しやすい夏から初秋にかけて発生件数が多いが、O157は感染力が強く、気温の低い時期にも食中毒が発生するため、これからの季節も注意が必要だ。

厚生労働省は、食中毒の予防策として、▽調理前には必ず手洗い▽生鮮食品はすぐに冷蔵庫へ▽食材を中心までよく加熱―などを強調している。こうしたポイントを各家庭においても徹底したい。

感染が疑われる症状が出た場合は、医師の診察を受けることを優先すべきだ。安易に下痢止めの薬を飲むと、腸に付いた菌が腸にとどまり、毒素を出し続けて症状が重くなることがあるからだ。

感染経路の特定が難しいこともO157の特徴の一つ。

佐賀県鳥栖市の保育施設では先月下旬から今月にかけて、園児と職員など計19人からO157が検出された。うち4人に下痢などの症状がみられた。この施設での園児の食事は、業者に外注した給食、または持参した弁当の二つに分かれるが、感染者はそれぞれにいるという。

やはり、食品が口の中に入る前にどう防ぐかという"水際対策"こそ、感染防止には最も有効であろう。注意を怠らないようにしたい。

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