eコラム「北斗七星」

  • 2017.09.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年9月20日(水)付



最近わが家の三毛猫が、とみに弱ってきたこともあって、『消えたニャンちゃん』という見出しに目が止まった。『男のひといき』という朝日新聞の投稿欄。死期を察した老猫との別れをつづったものだった◆老猫は野良猫で、ある朝雪をかぶり庭先にうずくまっているところを投稿者に救われた。だが、夏が来て暑くなり始めた頃から食欲がなくなり、あばら骨を浮かし、よたよた歩くようになる◆そんなある夜、眠っている投稿者の懐に潜り込んできた老猫は顔をすり寄せ、のどをゴロゴロ鳴らした。初めてのこと。翌朝、飼い主が目を覚ますと既に姿はなく、以来老猫が現れることはなかった◆「すべての人間にそれぞれのとくちょうや人生があるのと同じで、人間以外のあらゆる生き物にも喜びや悲しみがあります」。『せつない動物図鑑』(ブルック・バーカー著、服部京子訳)の「訳者あとがき」にあった言葉◆そう言われてみれば、飼い主の子どもが近所の犬にかみつかれているのを見た猫が、勇敢に犬に挑みかかり子どもを救い出したという海外の動画が、ニュースで紹介されたこともあった◆あらゆる生き物の中でもとりわけ人間の身近で生活するペットの犬や猫たち。それらに喜びや悲しみがあると思うと、いとおしさが増す。今日から動物愛護週間。(六)

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