e女性の活躍促進

  • 2017.09.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年9月16日(土)付



管理職の登用時期も見直しては



日本で女性の活躍が遅れている実態が、あらためて浮き彫りになった。

世界の政財界首脳が集まるダボス会議を主催する「世界経済フォーラム」が13日に発表した報告書によると、人材の育成力で日本は130カ国中17位で、昨年の4位から大幅に順位を落とした。

従来と評価方法が変わり、女性の社会進出状況、とりわけ雇用における男女格差が重視されたためとされる。

報告書によると、雇用の男女格差を小さい順に並べた年代別のランキングで、日本は15~24歳で1位だが、25~54歳では69位と低迷。妊娠・出産を機に離職する女性が少なくない日本の現状を端的に示した結果と言えよう。

25~54歳と言えば働き盛りの年代だが、日本の場合、さまざまな経験を積んで昇進を重ねる男性に対し、女性は出産や育児のために雇用環境が大きく変わり、人事や賃金、待遇などで格差が生まれていると考えられる。

格差を解消するには、まず保育施設の整備や育児休業の拡充といった復職支援など、女性が働き続けられる環境整備に全力を挙げなければならない。その上で、例えば年功序列になりがちな人事のあり方も見直してはどうか。

政府は2020年までに女性管理職を30%にする目標を掲げているが、現実は13%にとどまる。女性管理職が少ないことも、日本の男女格差を象徴する一つの例だ。

欧米では年齢より能力を優先するため、20代の管理職も珍しくない。一方、日本の場合、管理職に就く年齢は40代からが多い。そうなると、昇進レースが本格化する前に出産適齢期を迎える女性は「キャリアか、子どもか」という深刻な選択を迫られる。

仮に出産前に管理職に就いていればどうだろう。企業はせっかく登用した人材を失わないよう、子育てとの両立支援に一層力を入れるはずだ。

東京大学の大湾秀雄教授は、管理職登用を早める「早い選抜」に転換すれば、「長時間労働や不平等な家庭内分業といった他の女性活躍阻害要因の社会的変革を促す効果も期待できる」と指摘する(月刊「公明」10月号)。

女性の活躍促進へ、多様な角度から知恵を絞りたい。

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